暴力団組員からの借金を理由にした許可取消(佐賀県)

2014年1月30日 佐賀新聞 県、産業廃棄物収集運搬業の許可取り消し

 佐賀県は30日、暴力団と密接な関係があったとして、廃棄物処理法に基づき、田中造園土木の産業廃棄物収集運搬業の許可を取り消した。同社は現在、暴力団との関係を解消し、県警も公共事業の排除対象から除外しているが、県は「過去に関係があった事実が認められた場合、法律上、処分対象になる」としている。

 県は昨年8月、県警から同社に関して許可取り消しに該当する事実があるとの通知を受け、法に基づき、同社から意見を聞く聴聞を9月と10月に開いた。

 同社は、前社長が幼なじみの組員から借金した事実は認めたが、許可取り消しの要件となる「『暴力団員が事業活動を支配する』ほどの密接な関係ではない」と主張。しかし、県は環境省や弁護士とも協議し、処分要件に該当すると判断した。

 県警が昨年8月に公共事業からの「排除要請」を実施した後、同社は社長を交代。暴力団排除に向けた取り組みを進め、県警は12月に排除要請を取り消した。県も9月に4カ月間の指名停止処分にしたが、現在は排除措置を終了している。

 今回の処分に伴い、同社は5年間、廃棄物処理法に基づく全ての許認可を受けられなくなる。不服がある場合、環境省への審査請求や裁判所に処分取り消しを求めることができる。田中社長は「もう暴力団とは関係ないのに、処分は納得できない。弁護士とも相談し、処分取り消しに向けた手続きを検討したい」と話している。

前社長が個人的友人の暴力団組員から借金
そのことが「暴力団員が事業活動を支配」していると認定され、佐賀県から産業廃棄物処理業の許可が取消されたという事例です。

「暴力団員が事業活動を支配する」という認定の際には、借金の金額の多寡が問題になったと考えられます。

個人的な借金ではなく、会社の事業資金の穴埋めのための借金であれば、数百万円以上の額に上ると考えられますので、事実がそのとおりであるならば、佐賀県の許可取消処分にも妥当性があったと思います。

前社長との個人的な関係に基づき、「ある時払いの催促なし」という良心的な(?)ヤクザだったのかもしれませんが、暴力団の資金源は反社会的活動ですので、それを原資としたお金は企業が受取るべきものではありません。

ヤクザからの借財が前社長在任当時の一時的な状態に過ぎず、現在は借金を返済していたとしても、
過去の「会社として暴力団から出資を仰いだ」という事実は変えようがありませんので、それだけで欠格要件の対象になります。

社長の個人的な遊興や生活費の支出のために暴力団組員から借金をしていたなら話は別かもしれませんが、
会社の事業資金として借金が使われた場合は、外形的に見ると「暴力団が事業活動を支配する」とみなさざるを得ないと思われます。

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