「廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)」へのパブリックコメント募集開始
一国民の立場で意見を述べる以上、パブリックではなく、プライベートなコメントにしかならないのではないかと常々疑問に思っていますが、いよいよ募集が始まりました。
(※筆者注 パブリックというのは意見の性質ではなく、「公から広く意見を聞いた」という機会を提供したか否かだけですね。)
2016年12月20日付環境省発表 「廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)について」
報告書案の中身については、既に当ブログ記事「廃棄物処理制度専門委員会(第7回)の傍聴記」で紹介した内容とほぼ同様の文章となっています。
詳細は、「廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)」をご覧いただくとして、各回の傍聴記で書くのを忘れていた点について書き残しておきます。
それは、営業の本質にも通じる話だと思いますが、
「いきなり、今困っていることを聞いてはいけない」です(笑)。
営業に行った際、「相手の困っていることを聞き出せ」というのは、薄っぺらいビジネス本によく書かれている内容です。
一見すると有効なテクニックに見えますが、その聞き方によって、引き出せる情報の質は大きく異なります。
最も悪いのは、ただ単に「困っていることはないですか?」と質問をし、相手に自由に悩みをしゃべらせること。
それだけで最適な営業提案ができるのであれば、誰も営業活動で苦労することはありません。
今回の専門委員会の大部分は、ヒアリングと称しながら、ヒアリング先に自由に話させるという、問題抽出の手法としてはやってはいけないことをやってしまいました。
※精神的に不健康な状態にある人へのカウンセリングやセラピーとしては、そのような手法も有り得ます。言うまでも無く、専門委員会のヒアリングは、カウンセリングではなく、具体的な論点抽出の場ですね(苦笑)。
逆に、唯一関係者にヒアリングしていない論点は、環境省は本質的な問題点をえぐり出すことに成功し、また素人の意見を求めることなく、迅速に別の場での専門的な議論を開始していたりします。
その論点とは、「(5)の廃棄物処理における有害物質管理の在り方」です。
正確には、このテーマについては、全国産業廃棄物連合会から「WDSの作成を委託基準として義務化してほしい」という要望がヒアリングの際に出されていましたが、報告書案の中にはそれが反映されていませんので、この部分については環境省のみの意思と考えて良さそうです。
ヒアリングするのは良いのですが、好きなことを話させるのではなく、まずは環境省が論点を提示し、その論点に関して「実際に困っている点」や「その問題を解消する方法」等を引き出していくことが必要だったと思います。
皆様の今後の営業や会議のヒントになれば幸いです(笑)。
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2016年12月21日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:2016年