第8回「第8条 廃棄物処分業者の判断基準」再資源化事業高度化法

再資源化事業高度化法
第三章 資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化
第一節 廃棄物処分業者による資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化の促進

第8条(廃棄物処分業者の判断の基準となるべき事項) 環境大臣は、資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化を促進するため、環境省令で、次に掲げる事項に関し、廃棄物処分業者の判断の基準となるべき事項を定めるものとする。

一 物の製造、加工又は販売の事業を行う者の再生部品又は再生資源に対する需要の把握並びに当該需要に応じた質及び量の再生部品又は再生資源の供給に関する事項
二 再資源化の生産性の向上のための技術の向上に関する事項
三 再資源化の実施の工程から排出される温室効果ガスの量を削減するための当該実施に用いられる廃棄物処理施設(一般廃棄物処理施設(廃棄物処理法第8条第1項に規定する一般廃棄物処理施設をいう。 第20条第2項第五号において同じ。)又は産業廃棄物処理施設(廃棄物処理法第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設をいう。同号において同じ。)をいう。以下同じ。)における設備の改良又はその運用の改善に関する事項
四 処分を行う廃棄物の数量に占める再資源化を実施する量の割合に関する目標の設定及び当該目標を達成するために計画的に取り組むべき措置に関する事項
五 その他再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施の促進に関し必要な事項
2 前項に規定する判断の基準となるべき事項は、基本方針に即し、かつ、再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施の状況、再資源化事業等の高度化に関する技術水準その他の事情を勘案して定めるものとし、これらの事情の変動に応じて必要な改定をするものとする。

法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。

独断と偏見に基づく注釈

「逐条注釈」という執筆趣旨のため、法律案の条文番号に従ってご紹介しておりますが、
第8条は、第9条(指導及び助言)と第10条(勧告及び命令)とセットで読む必要がある条文です。

第8条の概要を簡単にまとめると、「『廃棄物処分業者』が再資源化事業高度化のために判断基準とすべき内容」となります。

「認定を受けた再資源化事業者」のみならず、「廃棄物処分業者すべて」に関わりがある条文でもあります。

詳細は第10条の「勧告及び命令」で再び見ることになりますが、
「処分を行った産業廃棄物の数量が政令で定める要件に該当するもの」は「特定産業廃棄物処分業者」となり、
再資源化実施状況が、第8条の判断基準に照らして「著しく不十分」な場合は、国からの勧告と命令の対象になる可能性があります。

「処分を行った産業廃棄物の数量が政令で定める要件に該当するもの」の詳細は、今後制定される政省令で定められることとなりますが、おそらくかなり大規模な処分業者しか該当しないように思われます。

判断基準の詳細に戻りますが、

  • 物の製造、加工又は販売の事業を行う者の再生部品又は再生資源に対する需要の把握
  • 需要に応じた質及び量の再生部品又は再生資源の供給に関する事項
  • 再資源化の生産性の向上のための技術の向上に関する事項
  • 再資源化の実施の工程から排出される温室効果ガスの量を削減するための当該実施に用いられる廃棄物処理施設における設備の改良又はその運用の改善に関する事項
  • 処分を行う廃棄物の数量に占める再資源化を実施する量の割合に関する目標の設定及び当該目標を達成するために計画的に取り組むべき措置に関する事項
  • その他再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施の促進に関し必要な事項

とありますので、処分業者に「排出事業者からの依頼に基づき廃棄物を処分するだけの事業者」に止まることを許さず、
再生部品または再生資源に対する需要を把握し、それらをいかに供給するかまで考えよ 
と言われているような気がします。

もちろん、罰則付きの義務規定ではありません。

しかし、特定産業廃棄物処分業者限定ではありますが、国から直接勧告や命令を受ける可能性まで出てくるわけですから、再資源化事業高度化法の制定前と制定後では、産業廃棄物処理業界の在り方が大きく変わることになりそうです。

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