昭和60年7月24日付衛環102号 「処理が困難な廃棄物対策について」
【処理が困難な廃棄物対策について】公布日:昭和60年07月24日
衛環102号(各都道府県一般廃棄物処理行政担当部(局)長あて厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)
標記については、かねてより御尽力願つているところであるが、今般、生活環境審議会廃棄物処理部会適正処理専門委員会から、別添一のとおり報告書が提出されたところである。
厚生省としては、今後、この報告書の提言に沿つて必要な措置を講ずることとしているので、参考に供されたく送付する。なお、使用済み乾電池対策については、左記に関し、貴管下市町村に対する周知指導方よろしく取り図らわれたい。
記一 使用済み乾電池対策に関する専門委員会報告の要旨
- (一) 使用済み乾電池対策に関する基本的考え方
- ア 一般廃棄物中に含有される使用済み乾電池は、他のごみと合わせて処理しても、生活環境保全上特に問題となる状況にはないこと。また、アルカリ乾電池中の水銀含有量の低減、ボタン形水銀電池の回収・処理等により、生活環境の保全の確保が一層図られる見通しであること。したがつて、生活環境保全の観点からは、現行法制度の遵守が図られれば、特段の措置を講ずる必要性は認められないこと。
- イ より快適かつより安全な生活環境を求める社会的なニーズの高まりに対応するため、関係者がそれぞれの立場からこれに可能な範囲で取り組むことが求められるが、ごみ中の水銀含有量を低減することを基本とする事業者における措置が最も妥当であると考えられること。
- ウ 市町村において、各種の事由により、筒形乾電池の分別回収等の措置が講じられてきた事情は理解されるが、今後は、事業者による措置を踏まえつつ、市町村は分別回収等の必要性を自主的に判断すること。
- (二) 関係者が講ずべき措置
- ア 乾電池中の水銀含有量の低減化等の推進
使用済み乾電池対策の基本として、事業者において次の措置を講ずるものとすること。
(ア) 水銀電池の回収強化等
水銀電池の回収に関する普及啓発活動の強化による回収率の向上及び新規用途の拡大の抑制を図ること。また、水銀電池の代替電池の開発及び代替電池への切り替えを推進すること。
(イ) アルカリ乾電池の水銀含有量の低減化
現在市販されているアルカリ乾電池の水銀含有量は、従来のものの三分の一となつているが、さらに、これを昭和六二年九月頃を目途に、従来のものの六分の一とすること。
(ウ) アルカリ乾電池の識別容易化
アルカリ乾電池について、他の乾電池と識別できるよう色分け等に努めること。- イ 使用済みアルカリ乾電池等の広域的な回収・処理の実施
廃棄物処理事業の円滑な推進等種々の事由によつて、多くの市町村が筒形乾電池の回収等の措置を講じてきた事情を勘案し、事業者における措置が実現するまでの間の経過的措置として、これらの市町村においては次のような措置を講ずるものとすること。
(ア) 使用済みアルカリ乾電池等の広域的な回収・処理体制の整備
回収された使用済みアルカリ乾電池等は、当該市町村がその処理・処分に当たることを基本とし、広域的な回収・処理体制を整備すること。
(イ) 広域的な回収・処理の推進のための組織的対応
広域的な回収・処理の振興を目的とした市町村を中心とする全国的な組織を整備すること。
(ウ) 事業者の積極的な協力
特に製造業者は、(ア)及び(イ)について、財政的な側面から協力を行うこと。- ウ 水銀等の排出に関するモニタリングの強化
一般廃棄物処理施設からの排出水及び排ガスに含有される水銀等のモニタリングの実施を一層強化すること。二 使用済み乾電池対策に関する留意事項
市町村は、使用済み乾電池対策について、次の事項に留意しつつ、専門委員会報告に沿つて必要な措置を講じられたいこと。- (一) ごみ処理に伴う水銀による環境影響
専門委員会報告において、使用済み乾電池を他のごみと合わせて処理しても、生活環境保全上問題ないとされているが、厚生省の調査においても別添二のとおり、特段問題が認められないこと。- (二) 使用済み乾電池の適正処理の推進を援助する組織体制の整備
分別・保管された使用済み乾電池の市町村による広域的な回収・処理を推進するため、可及的速やかに(社)全国都市清掃会議の中に、これを援助する組織体制を整備することとしていること。
なお、使用済み乾電池について、市町村が、広域的な回収・処理によらず独自に取り組む場合、その処理技術としては、水銀を回収する方法及びコンクリート固型化する方法があるが、廃棄物処理法等の諸規定の趣旨を踏まえ、生活環境の保全に万全を期すること。- (三) モニタリングの実施
水銀等の排出に関するモニタリングを強化するため、市町村においてはごみ焼却施設からの排出水及び排ガス、最終処分場からの放流水及び最終処分場の覆土等のモニタリングを実施すること。なお、この場合の方法については、昭和五二年一一月四日付け環整第九五号本職通知の定めるところに準ずること。
「別表 適正処理専門委員会報告書」については、転記省略。
http://www.env.go.jp/hourei/syousai.php?id=11000258 に記載されていますので、必要な方はそちらを参照のこと。
昭和60年当時の乾電池は水銀を含有していたため、他の一般廃棄物と一緒に乾電池を処理することの是非に関する通知です。
現在の乾電池には水銀がほとんど含まれていないそうですが、「朱肉」や「体温計」「血圧計」などには、依然として水銀が含まれていますので、これらのものを焼却すると、水銀が気化してしまい、人体に吸収しやすくなってしまうため、取扱いには注意が必要です。
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2010年8月10日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:通知・先例