行政代執行費用求償の難しさ

千葉日報ウェブ 2カ所で基準超え鉛 県内の不法投棄現場

 2011年度の県決算を審議する県議会決算審査特別委員会が19日始まり、環境生活部は、県内の不法投棄現場のうち、周辺環境への影響や崩落が懸念される16カ所で重金属などの調査をした結果、2カ所で環境基準の約1・5倍の鉛を検出したことを明らかにした。

 廃棄物指導課は、不法投棄した業者に撤去を指導し、業者が不明の現場では周辺の詳細な環境調査を実施するとしている。

 一方、県は11年度、これまでに17現場で実施した廃棄物撤去の「行政代執行」費用7億5700万円を不法投棄業者らに請求したが、同年度中に回収できたのはわずか約150万円にとどまると説明した。

不法投棄対策には一日の長がある千葉県にして、代執行費用の回収は困難を極めています。

費用を回収できないからと言って代執行を躊躇することもできませんので、非常に悩ましい問題ですね。

代執行費用の回収は、国税徴収法の規定に基づいて執行されるものですが、
そもそもの行為者を特定できない場合が多く、回収するべき財産の特定が困難になっています。

青森・岩手県境不法投棄事件のような大規模不法投棄事件ともなれば、
大所帯のプロジェクトチームが設立され、措置命令や代執行費用の請求が集中的に行われるようになりますが、
小規模案件の場合は、チームが作られるわけではありませんから、通常業務の合間を縫って、行為者の特定や財産保全を行っていかねばなりません。

地方自治体の中でも、縦割り行政が厳然と残っていますし、それ自体は今後も変わることは無さそうです。

縦割りに左右されない、画期的な組織連携の仕組みを構築できれば、行政代執行費用の求償はもっと容易になるはずですが、中核市や都道府県レベルの大きな組織になると、そういった連携は非常に難しくなります。

できるとすれば、普通の市町村レベルの大きさで、なおかつ首長が強力なリーダーシップを発揮しているところでしょう。

しかし、残念ながら、普通の市町村レベルで廃棄物撤去の大規模な代執行をする機会はほぼありません。
そのような場合には、都道府県の責任になるからですね。

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