静岡県が不法投棄物撤去の代執行に着手

1月22日付静岡新聞 沼津・愛鷹山麓の産廃 一部撤去へ代執行

 沼津市西野の愛鷹山麓に廃プラスチックなど23万立方メートルの産業廃棄物が不法投棄されたままになっている問題で、県は22日、行政代執行による廃棄物の一部撤去を開始した。作業は来年2月末までに完了する予定。
 県くらし・環境部の伊熊元則部長が午前10時、現地で代執行の開始を宣言し、委託を受けた業者が資材を次々に搬入した。廃棄物が埋め立てられている斜面は、地震などで崩落する恐れがあるため、代執行で、斜面上部の廃棄物と土砂計3万5800立方メートルを掘削し、勾配をなだらかにする。廃棄物は選別して処理する。
 廃棄物は2000~04年、スルガ産業(同市西野、05年破産)が違法に埋め立てた。県は代執行の費用約5億5千万円を元社長らに請求する方針だが、回収は困難とみられる。
 地元住民からは早期の原状回復を求める声が挙がっているが、県の担当者は「行政代執行は生活環境の保全が目的。新たに何らかの恐れが出ない限り、(廃棄物の)全量撤去は難しい」と話した。

約3万6千立方メートルの不法投棄物を撤去するのに5億5千万円がかかるとのこと。

これはかなり現実的な金額です。

原因者に撤去費用を請求しないといけませんが、記事にもあるとおり、原因者が費用を支払う見込みは非常に低いと思われます。

原因者が支払わない場合、その現場に埋められた廃棄物の処理を委託した排出事業者にも費用負担が求められる可能性があります。

しかし記事を読む限りでは、排出事業者には費用負担を求めないように見えます。

10年も前の事件であるため、排出事業者の特定ができなかったのでしょうか?

かなり古い事件であるにもかかわらず、今頃になって行政代執行に着手するというのも少し理解しにくいところです。

静岡県内部、あるいは地元関係者との調整で時間を取られたものと思われます。

また、地元の人は全量撤去を求めているそうですが、静岡県は一部撤去しかしない方針とのこと。
行政代執行の性格上、静岡県の方針の方が正しいということになります。

全量撤去となると23万立方メートルにも上りますので、撤去費用も膨大なものとなり、静岡県単独では負担しきれない金額になります。

また、埋立物に危険物が入っていない限り、全量を撤去する必要がないのも事実です。
周囲の景観が大きく変わるのも間違いありませんが。

一番重要なのは、
大規模な事件になってからの後始末ではなく、小規模なうちに封じ込め、事態の悪化を早急に防ぐことですね。

自治体職員の皆さんにすれば、
頭では分かっていても、気持ち(トップの方針)や体(人員や予算)がついていかないというところだとも思います(苦笑)。

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