ヤマダ電機が小型家電リサイクル事業への参入表明

3月22日付日刊工業新聞 ヤマダ電機、小型家電リサイクル事業に参入

 ヤマダ電機は小型家電リサイクル事業に参入する。使用済み家電の再利用(リユース)を手がけるグループのシー・アイ・シーが、4月1日施行の「小型家電リサイクル法」で国が定めるリサイクル事業者の認定を申請する方針を固めた。認定を受けられればヤマダ電機に小型家電の回収を委託し、全国750店舗強の店頭で回収を始める。小型家電リサイクルでは、家庭からの回収経路や費用負担などが課題となっている。家電量販店の参入により、民間主導で広域処理が進む可能性がある。
 現状、小型家電を回収するには廃棄物処理法に基づき、処理事業の許可を自治体から受ける必要がある。小型家電リサイクル法では環境相の認定を受けた事業者は、自治体の許可を受けずに都道府県を越えた広域で回収が可能になる。シー・アイ・シーは環境省に提出する再資源化事業計画の策定などの準備を進めており、受け付けが始まる4月をめどに申請する。

ヤマダ電機の強み

経営不振に陥った東金属の買収などから、ヤマダ電機の小型家電リサイクル事業への進出は既定路線であったため、それほど大きな驚きはありませんが、
全国750店舗の立地を活かした回収網には注目しないといけません。

全国規模で小型家電の回収を検討している事業者は、ヤマダ電機の他にはほとんどないと思われます。

その理由は、3県以上にまたがる広範囲の市町村から廃棄物を回収するというコストの高さにありますが、
店舗といういわばステーション回収中心で進められるヤマダ電機の場合、他のリサイクル事業者よりも市町村を回る頻度が少なくて済みそうです。

いざ市町村から回収を求められたとしても、出入りの運送業者を認定対象者に入れておきさえすれば、彼らに回収に行ってもらうことが可能です。

ここまでの情報だけで、地域のリサイクル事業者にとっては、ヤマダ電機の参入が大きな脅威となるであろうことはご理解いただけると思います。

ではヤマダ電機の一人勝ちになるのか?

ヤマダ電機(正確にはグループ企業の株式会社シー・アイ・シー)の事業計画の詳細がわかりませんので、どれくらいの処理能力があるのかが不明です。

情報が乏しい中での想像ですが、おそらくそんなに高い処理能力は持っていないと考えられます。

そのため、全国の店舗で回収した廃棄物をいきなり円滑に処理できるようになるとは考えにくいところです。

この想像が正しければ、認定取得後数年間は、ヤマダ電機は全国津々浦々の市町村の廃棄物まで引き受けようとは思わないはずです。
なぜなら、自社の店舗で回収した小型家電の処理で精一杯となるからです。

ヤマダ電機への対抗戦略

地域のリサイクル事業者は、ヤマダ電機が本気になる前に、事業地域の市町村とのパイプを太くし、市町村回収ルートで集まる小型家電の確保に努めるべきです。

もしくは、ヤマダ電機の競合量販店や大規模小売店舗と提携し、常設の回収場所を確保するべきです。

リサイクルコストの安さもさることながら、回収ルートを押さえるという意味で、今後は回収場所の陣取り競争に励む必要がありそうです。

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