善商不法投棄事件に関し岐阜市が終息宣言

3月22日付 岐阜新聞 椿洞産廃、終息宣言 岐阜市が発表 発覚9年、処理区切り

 岐阜市椿洞の産業廃棄物不法投棄事件で、市は21日、現場の産廃撤去について「これ以上の掘削は行わない」とする終息宣言を発表した。現場の安全面について検証する外部有識者の技術評価検討委員会が同日、「生活環境保全上の支障や支障の恐れは取り除かれた」とする報告書を細江茂光市長に提出したのを受け、市が会見した。事件発覚から約9年にわたった産廃撤去の問題は区切りを迎えた。

 報告書では、▽ダイオキシン汚染の影響▽崩落の危険性―などについて検討し、廃棄物内部の温度や地下水水質の分析結果などから現場の危険性がないと判断。報告書を提出した委員長の藤田正憲大阪大学名誉教授は「環境保全上の問題はクリアした」と話した。

 市によると、現場に埋められていたのは、建築廃材や土砂など計約124万立方メートル。市が産廃特措法に基づき5年かけて除去した産廃に加え、業者の自主撤去なども含めて計約50万立方メートルを撤去した。残る約74万立方メートルは土砂やコンクリートがらが大半で、今のところダイオキシンを発生させる恐れもなく、安全面に問題はないという。

善商不法投棄現場を見てきました で既報のとおり、
有害廃棄物の撤去が終わり、安全な状態にまで整地が終わった善商不法投棄現場に関し、岐阜市が終息宣言を行いました。

終息宣言とはいえ、巨額の廃棄物撤去費用や、環境モニタリングの継続と情報公開など、完全に問題が片付いたわけではありませんが、
少なくとも、周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼすリスクはすべて片付いたと言えるでしょう。

近隣住民の方の下記のコメントを読むと、岐阜市が行った住民との真摯なリスクコミュニケーションの跡がうかがえます。

 現地の地元住民でつくる現場対策推進協議会の会長(77)は「当初は全量撤去を求めてきたが、今は市と協力して撤去を支えてきた。現場が安全になったのは住民にとって喜ばしい」と話した。

これ以上の廃棄物の撤去は、やったとしても景観改善くらいの効果しか得られませんので、岐阜市の税金を使ってさらなる撤去を行うのは現実的ではありません。

住民の方の判断は極めて理知的なものだと評価いたします。

撤去にかかった費用約66億円については、業者から回収できた分が約1億円にとどまり、今後も回収を継続する方針。

現実的ではありませんが、これも岐阜市としてはやっていかねばならない作業です。

実際には
行為者の善商は倒産状態ですから、残り65億円を善商から回収することは不可能ですし、委託者の排出事業者には、既に措置命令などで自主撤去などをさせていますので、やはり現状以上の求償は困難だろうと思われます。

不法投棄問題に限った話ではありませんが、
問題が軽微なうちに対処すればそれほど大変なことはありませんが、
危機的な状態になるまで放置すると、リカバリーに多大な費用がかかってしまいます。

問題が軽微かどうかを見極めるためには、過去の失敗事例の情報共有が不可欠です。

そのためにも、善商その他の不法投棄事件を貴重な失敗事例として、日本社会全体で共有したいところです。

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