排出元と利用者の最強タッグ

下水汚泥の肥料としての利用促進のため、汚泥の排出元(国土交通省)と肥料の利用者(農林水産省)がタッグを組み、肥料としての利用促進していく上での課題や取組の方向性等が議論されたそうです。

2023年1月20日付 国土交通省 「下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた論点整理を公表しました

 国土交通省、農林水産省及び関係機関が連携して「下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた官民検討会」を開催してまいりました。この度、これまでの議論等を踏まえ、下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた課題や取組の方向性を取りまとめ、公表しました。
 
 国土交通省と農林水産省は、下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けて、関係機関が連携して推進策を検討するため、「下水汚泥の肥料利用の拡大に向けた官民検討会」を設立し、議論を進めてきました。
 この度、これまでの官民検討会での議論等を踏まえ、下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた課題や取組の方向性を取りまとめ、公表しました。
 今後、本論点整理も踏まえて、肥料の国産化と安定的な供給、資源循環型社会の構築を目指し、農林水産省、国土交通省、農業分野、下水道分野が連携し、安全性・品質を確保しつつ、消費者も含めた理解促進を図りながら、各関係者が主体的に、下水汚泥資源の肥料利用の大幅な拡大に向けて総力をあげて取り組むこととしています。

汚泥由来の肥料ほど、製造者の姿勢が玉石混交の業界は無いのではないでしょうか?

受入れ物の選別をしっかりと行い、厳密な製造管理を行いながら、肥料として高品質な製品を真摯に作り続けている企業がある一方で、

プラスチック片その他の異物が大量に混入していながらも、「これは下水汚泥から作った肥料だ」と言い張るだけで、粗悪な不良品を延々と作り続ける脱法業者も、そこかしこに存在しています。

国土交通省及び農林水産省からは、「下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた関係者の役割と取組の方向性」としては、下記の図のようにまとめられています。

目標として、

2030年までに堆肥・下水汚泥資源の使用量を倍増し、肥料の使用量(リンベース)に占める国内資源の利用割合を40%へ

という数値目標が掲げられています。

下水汚泥の場合、100%日本国産資源ですので、日本国内でそれを有効利用することは非常に重要な課題です。

2030年までの7年間で、堆肥と下水汚泥の資源としての使用量を倍増させるという目標は、かなり意欲的なものと言えます。

官民検討会の検討結果である「論点整理」を見る限り、地に足の着いた議論が行われたように見受けられます。

重金属の基準をクリアして、さらに成分保証可能な肥料について、名称も含めた公定規格の検討

「汚い泥」と読むしかない「汚泥」という用語自体が、そろそろ現代日本の社会実情に合わない言葉になっていますので、そこから名称を変えるという考え方には大賛成です。

幸いなことに、我々日本人には、し尿を肥料として有効活用してきた歴史がありますので、古典を紐解けば、すぐにふさわしい名称が見つかるはずです。

個人的には、「ウ〇コちゃん」あるいは「ウ〇チさん」のように、可愛く擬人化した名称が最適と思っています(笑)。

または、「KOEDAME(肥溜め)」と、外国語風にローマ字表記してしまうと、かぐわしい香りを演出できそうです。

さて、肥料としての使用量を倍増させるためには、農業者の方たちに現在の倍以上の元汚泥肥料を使ってもらう必要があります。

これこそが最大、かつ唯一の課題と言っても過言ではないと思います。

食品を育てている農業者の方が、肥料への重金属類の混合割合について慎重になるのは当然です、

その一方で、元汚泥肥料を使って、美味しい作物を生産している農業者の方が年々増えているのも事実です。

農業者からの信頼を得るためには、
重金属類の含有を減らすための工法を確立するとともに、肥料製造後のモニタリングや、実態を伴わない形式だけの悪質な肥料製造事業者には早々と退場いただく仕組みを整備することが不可欠です。

その上で、肥料としての有効性・安全性に関するデータを、多くの農業者の方に知ってもらえるようになれば、純国産肥料の利用は必ず増えます。

基本的には、汚泥の処理施設は、農地の近隣にあることが多いため、地元との信頼関係さえ構築できれば、地産地消が進むというメリットもあります。

廃棄物を原料とした肥料を製造する場合、品質や製造工程の管理を、気を抜くことなく常にやり続けることが不可欠です。

このように大変な製品を真面目に作り続けている各地域の処分業者にも温かい目を向けていただけると、筆者としては嬉しく思います。

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