「白トラ逮捕」事案のバタフライエフェクト

「白トラ」とは、貨物自動車運送事業法に基づく許可を受けた「青ナンバー」ではなく、、自家用車(白ナンバー)で違法に貨物を運ぶ行為を指しますが、下記でご紹介する逮捕事案が起きた地域では、「産業廃棄物収集運搬業者も青ナンバーを取得しないと逮捕されるのではないか!?」という動揺が少なからず起きているようです。

2025年7月10日付 産経新聞
「白トラ」歴10年以上の親子を容疑で逮捕 土砂を有償運送、下請けさせた会社役員も逮捕

 国土交通相から運送業の許可を受けずに、白ナンバーの大型ダンプカーで砂利を有償で運んだなどとして、岐阜県警は10日までに、貨物自動車運送事業法違反の疑いで、自営業、A容疑者と息子のB容疑者を逮捕した。親子は「10年以上前からやっていた」と容疑を認めているという。

 親子の逮捕容疑は、国交相の許可を得ずに自家用大型ダンプカーを使用し、土砂を有償で運送する事業を経営したとしている。

※容疑者の氏名住所年齢の引用は略

「運送業の許可を受けずに」「白ナンバーの大型ダンプカー」「有償で運んだ」という個別の単語だけを見ると、

「他社が発生させた産業廃棄物」を「白ナンバーの大型ダンプカー」で「有償で運ぶ」産業廃棄物収集運搬業者も、逮捕された「白トラ」業者と変わりないように思えてきます。

そんな恐怖を感じた方は、岡本真夜さんの名曲「TOMORROW」をお聞きください。

歌を聞いた方に受け止めていただきたい歌詞は「見るものすべてにおびえないで」です。

こういう時は、「実際に起きたこと」と「それが起きた原因」をよく見極める必要があります。

逮捕されていた「白トラ業者」が運んでいた物は「砂利」です。

「砂利」は、「廃棄物」ではなく、れっきとした「建設資材」であり「貨物」です。

そして、「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送」する場合には、貨物自動車運送事業法に基づく許可が不可欠です。

このため、今回ご紹介した「白トラ業者」は、無許可で「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送」したため、逮捕されただけのお話です。

産業廃棄物収集運搬業の許可業者が、産廃運搬委託契約に基づき産業廃棄物を運ぶケースとは異なり、「貨物自動車運送事業法」の規制が全面的に適用される状況です。

「では、運ぶ物が廃棄物なら、貨物自動車運送事業法の規制を受けないのか?」と疑問に思った方が多いと思います。

この、廃棄物収集運搬業者は「青ナンバー」であるべきか、それとも「白ナンバー」のままでも良いのかは、廃棄物処理法制定後からくすぶり続けている問題です。

当ブログ関連記事
2014年3月26日付 「運送業許可が不要となる産業廃棄物収集運搬の条件

白ナンバーの廃棄物収集運搬許可業者が、適切に廃棄物を運搬しているにもかかわらず、「白トラだ!」という容疑で逮捕されたという事例を聞くことがない現状を鑑みると、この現状を維持することが最善と思いますので、先の疑問に対する答えは、今回もあえて書かずにおきます。

私に言えることは、「見るものすべてにおびえないで」だけです。

「見るもの」のみならず「見えないもの」にまでおびえるのではなく、まずは、自社が産業廃棄物収集運搬業者として果たすべき義務や責任を全うすることの方を重視しましょう。

コメントする