大同特殊鋼は危機管理の正念場

大同特殊鋼が“販売”していたスラグに関する続報です。

スラグが埋められた11か所で環境基準を超えるフッ素や六価クロムが検出されたとのことです。

2014年1月29日 東京新聞 砕石中の六価クロムなど 渋川の11カ所で検出

 鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場(渋川市)から排出された六価クロムなどの有害物質を含む廃材「鉄鋼スラグ」の処理をめぐる問題。渋川市内では大同のスラグを使って整備した十一カ所で、環境基準を超える有毒物質のフッ素や六価クロムが検出され、市民の間で不安が広がっている。

 鉄鋼スラグに砕石を混ぜたスラグ砕石が市道や駐車場で使われていた問題は同市金井の遊園地「渋川スカイランドパーク」の駐車場改修工事に絡み、昨年六月の市議会で発覚。市は同十月から調査してきた。市によると、スラグ砕石は市内三十八カ所の市道や駐車場などで使用。十一カ所以外の施設でも検査を急いでいる。

 同パークでは、環境基準の二十二倍の六価クロムが検出された第五駐車場のほか、第四、第七駐車場でも六価クロムが基準を超えた。二十八日は休園日で訪れる観光客はなく、静まり返っていた。

 基準の約八倍のフッ素が検出された保育所駐車場は、児童の送迎に使われており、市は「対策の優先順位が高い」として昨年末に舗装。市環境課は「健康に影響はない」としているが、この日午後、長男を迎えに来た三十代の母親は「状況がよく分からないので不安は消えない」と心配そうだった。

上場企業ということもあり、このままスラグを施工現場に放置し続けるのは難しくなったのではないかと思います。

今後の焦点は、同社が「売却したスラグから有害物質が溶出する可能性を認識していたかどうか」になりそうです。

同社は、1月28日付で自社サイトにプレスリリースを掲載しています。
当社渋川工場の鉄鋼スラグに関する件について

しかし、このプレスリリースには、事実や経緯に関する言及がほとんどなく、今後の再発防止策もまったく書かれていません。

他の死亡事故を起こした企業(褒められたものではないにせよ)などと比較すると、危機管理に慣れていない様子がうかがえます。

今後の同社の対応によっては、マスメディアは、社会的な影響をことさら大きく書き始める可能性があります。

逆に、自発的なプレスリリースによって、メディアを納得させることができれば、火種が小さいいうちに鎮火することができるかもしれません。

いずれの対応を取るにせよ、自社が“製造”した製品に関しては真摯な対応をしていただくことを期待します。

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