丸投げの功罪

自分が面倒だと思う作業を第三者に委託し、すべて肩代わりしてやってもらうことを「丸投げ」と言います。

丸投げの効用としては、丸投げをすることで捻出できる労力や時間を、他にもっと重要と思う分野に振り向けることが可能となることです。

そのため、誰がやっても成果が変わらない単純作業や、専門的な技能を持つ人にやってもらった方が早く済む場合などは、丸投げというよりは、事務作業を委任する方が効率的です。

しかし、自分の仕事の本質的な部分に関わる作業を丸投げすると、効率的というメリット以上に、丸投げによって失う経験や知識といったデメリットの方が大きくなります。

一例を挙げると、
排出事業者の場合なら、現地確認作業
処理業者の場合なら、近隣住民との合意形成や許可申請書類の作成 などです。

現地確認を外部委託すると、確かに労力と時間の大きな節約にはなりますが、
その排出事業者自身は、自社の産業廃棄物がどのように処理されていくのかを知ることができず、形だけの現地確認報告書が積上げられるだけとなります。

そもそも、委託先処理業者を選定するためには、排出事業者自身が優劣を判断せざるを得ないわけですので、その判断力を磨くためにも、現地確認を自ら行うことは非常に大切です。

また、住民との合意形成などは大きなストレスがかかる作業ですので、やりたくない気持ちはよくわかります。

しかし、許可取得後にその場で操業を続けるのは、行政書士やコンサルタントではなく、その処理業者自身です。

処理業者自らに泥をかぶる覚悟が無ければ、地元の人に信用されることはありません。

許可申請書については、確かに自力では作成が難しい部分があるかもしれませんが、だからといって全面的に行政書士などに作成してもらい、処理業者自身は申請書の内容をまったく理解していないという状況は危険です。

申請書に書いた内容に基づき許可を与えられているわけですので、実際の操業においては、申請内容どおりに行うひつようがあります。

申請書の完全作成が難しい場合は、わかりにくい点を専門家や行政に教えてもらいつつ、申請内容の概要程度は自分で理解しておくことが必要です。

あと、事業者のみならず、行政も最近では大事な業務を丸投げするケースがあります。

例えば、不適正処理の監視を、警備会社や嘱託職員に一部丸投げするようなケースです。

夜間や休日など、行政自ら動きにくい面を警備会社にカバーしてもらうのは結構なのですが、
平日昼間の時間帯に、担当官は机で事務作業をしながら嘱託職員の報告を待つ、というのはいただけません。

現地確認と同様、担当官の知見も、現場に行って揉まれないことには磨かれないからです。

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