暑中見舞いが処理困難通知!?

先日顧問先の企業からお聞きした話ですが、

「事業の全部停止処分を受けた処理業者から、処理困難通知ではなく、〇月〇日から●月●日まで休業しますというお知らせが来ました。」

「こちらとしては、その業者が行政処分を受けたのを知っているので、処理困難通知としての対応が必要でしょうか?」というご質問でした。

幸い、顧問先企業がその業者に委託していた産業廃棄物が無かったため、仮にそれが処理困難通知だったとしても、措置内容報告書の提出などが必要ではない状況でした。

しかし、改めて考えてみると、処理困難通知のタイトルが仮に「暑中お見舞い申し上げます」だったとしても、施行規則で定められた内容を通知しさえすれば、処理業者側は法的な義務を果たしたことになります。

もっとも、施行規則で定められた事項を書くと、暑中お見舞いの文章とはかけ離れた内容になるのですが(笑)。

処理困難通知に書くべき内容

廃棄物処理法第14条第13項
 

産業廃棄物収集運搬業者及び産業廃棄物処分業者は、現に委託を受けている産業廃棄物の収集、運搬又は処分を適正に行うことが困難となり、又は困難となるおそれがある事由として環境省令で定める事由が生じたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該委託をした者に書面により通知しなければならない。

廃棄物処理法施行規則第10条の6の3
法第14条第13項の規定による通知は、前条各号に掲げる事由が生じた日から10日以内に、次に掲げる事項を記載した書面を送付してしなければならない。
一 産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、代表者の氏名
二 前条各号に掲げる事由が生じた年月日及び当該事由の内容

 

ただ、タイトルに騙されて単なる暑中見舞いとして放置していると、実は処理困難通知で何らかの対応が必要だったということが起こり得ます。

こんな暑中見舞いが来たら、大至急対応した方が良さそうです(笑)。
※注 下記の内容は今考えたオリジナルなものですので、実在するいかなる処理困難通知を参照したものではありません。

 

暑中お見舞い

 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

 さて、弊社では、〇月〇日から●月●日までの▲日間を従業員研修に充てるため、会社としては夏季休業に入らせていただきます。

 お客様にはご迷惑をおかけしますが、休業期間中には廃棄物の受入れができませんので、あしからずご了承ください。

 なお、このたび、●●県知事から□月□日に、〇月〇日から●月●日までの▲日間の事業の全部停止処分を受けておりますが、弊社の存続には影響がありませんので、今後も安心してお取引いただければ幸いです。

 弊社都合でお客様に不都合を掛けますことを心よりお詫び申し上げます。

 

 ●県●市●町○番●号

 株式会社慇懃商店 代表取締役 海千太郎

怖いことに、上記の文章は暑中お見舞いの形式を取っていますが、内容的には処理困難通知に書くべき内容を網羅しています。

施行規則では、行政処分の内容と、それを受けた日付を記載するだけとなっているからです。

処理業者の方はくれぐれも悪用することのないようにお願いします。
上記のような文章で通知をしたが最後、取引先の大部分を確実に失うことになりますので、あなたのためにもなりません。

排出事業者の方は、急に委託先業者から文書が届いた場合、内容をよく確認するようにしてください。

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