権威を疑う

講演や研修が終わった際には必ず質問を受け付けるようにしていますが、その際に極力使わないと誓っている言葉は、「行政に相談してください」です。

どうしてもそれを使わざるを得ない場合も当然あります。

それは、「趣旨や聞きたい内容がよく分からない質問」をされた時です(笑)。

とはいえ、最近ではそのような質問を受けることはまったくなくなりましたので、誓いを破ることもなくなりました。

ただし、このフレーズは、行政に責任転嫁をすることで、議論を打ち切ることができる非常に便利なものです。

では、なぜそのフレーズを使わないかというと、
肝心の「ギョーセイ」も人間である以上、常に正確、かつ安定した回答ができるわけではないことを知っているためです。

そのため、自分の回答に責任(少なくとも、自分自身が正しいと信じる内容を回答すること)を持つためには、不確かな「ギョーセイ」に下駄を預ける気にならないのです。

これは、行政側に立った経験のある人間だからこその思いなのかもしれません。

しかし、なにもそれは行政官のみにあてはまる話ではなく、弁護士であろうと、裁判官であろうと、人間である以上、その人自身の関心や知識量によって、正確性が大きく変わるのは当然のことです。

そんなことを言っている私自身にも、それは完全に当てはまります。

情報がインターネットですぐに得られる時代だからこそ、逆に、その情報の正確性を調べる時間も年々増えている気がします。

それは、昔の方が情報が正確だったというよりは、現代は「結果に影響を与える変数」が昭和時代よりも格段に増えたためであろうと思います。

その結果、「情報の裏を取る」という一手間を多くの人が省くようになり、「見たいと思う姿でしか世界を見ない」人ばかりになってしまったのかもしれません。

しかしながら、日々忙しさが増す現代だからこそ、情報に振り回されないためには、「情報の裏を取る」という作法が不可欠になったと思います。

自分への自戒も込めて、次の記事では、地方自治体・環境省・有識者という絶大な権威に対し、「情報の裏を取った」上で、ささやかな抵抗をしてみたいと考えています(笑)。

テーマは、「処理困難通知の対象」です。

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