シンプルだが強力な言葉「そんなものはない」

最近(?)話題に上ることが多い、鹿児島県志布志市における石膏ボード不法投棄事件に関する一メディアの報道を見て、思い出した漫画があります。

漫画といっても、廃棄物に関する漫画ではなく、有名な横山光輝先生の「三国志」の下記のコマです。

※出典 横山光輝「三国志」の関羽

関羽のように断固として言い切ることはしませんが、企業に対する法務コンサルティングの場面では、私自身非常に重視している理念です。

すなわち、「ないものはない」ことを理解していただくということです。

よくいただく質問の中に、
「現地確認の際に使える簡単なチェックリストの例ってありますか?」というものがあります。

私自身は、もっとも誠実な答えは
「そんな便利な物はありません。」だと考えています。

なぜなら、
そもそも、現地確認は子どものラジオ体操の参加スタンプのような形式的な書類ではなく、
企業として、「産業廃棄物の処理責任をどう考え」「委託先処理業者の何を重視して選んでいるのか」を示す、その企業独自の書式でなければならないからです。

個人的には、「現地確認」よりも、「委託先処理業者の与信調査」とした方が実務的にはより適切と考えています。

行政や各種業界団体が公表しているリストは多々ありますが、
その大部分は、「廃棄物が地下浸透していないか」等の法令の条文表現をそのまま転載しただけのもので、いわば行政職員の立入検査シートの様相を呈しています。

このようなリストを使用すると、一定の「仕事をしている感」は得られますが、
産業廃棄物の処理委託に伴う「不法投棄」や「急な倒産」等の具体的なリスクを回避することは無理と言えます。

そもそものリストの作成目的が、「立入検査」と「与信調査」ではまったく意味が異なることも指摘せねばなりません。

もちろん、産業廃棄物の処理委託手続きは、排出事業者と処理業者が相互に関係する作業ですので、
処理業者のあら捜しにかまけるのではなく、排出事業者自身に法律や契約違反が生じていないかをチェックすることも必要です。

「そんな(便利な)ものはない」を前提とし、
その行動をする必要性や意義までさかのぼって考えてみることが重要なのではないでしょうか?

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