廃油と土を混合して埋める行為は不法投棄に該当するか否か(平成4年7月23日付衛産47号)

【廃棄物の処理及び清掃に関する法律解釈上の疑義について】

公布日:平成4年7月23日
衛産47号

 佐賀県保健環境部長宛

厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課産業廃棄物対策室長回答

 平成4年7月20日付生衛第593号をもって照会のあった標記について、左記のとおり回答します。

 記

 不法投棄に該当する。

回答の元になった質問

平成4年7月20日
生衛593号

 厚生省生活衛生局水道環境部産業廃棄物対策室長宛

佐賀県保健環境部長照会

 標記の法律に関して次の事項について疑義が生じたので、至急御回答をお願いします。

 産業廃棄物処理業者(廃油の収集・運搬及び中間処理の許可を有する業者)が受託した廃油を自己所有地である中間処理場の敷地内において焼却工程の前処理と称して土砂と混ぜ、これにより生じた廃油と土砂の混合物を同敷地内に削土した穴に埋め、その上に外見上見分けがつかないように約0.5mの暑さで覆土し、一定期間放置した場合、本業者の行為は、不法投棄に該当するか。

※解説
頭の中に情報が増えると、逆にその情報に引きずられて、常識とかけ離れた考えに陥ることがあります。

今回ご紹介した疑義解釈は、常識的に考えると、廃油を土の中に埋めている以上不法投棄になることは誰にも明らかですが、
頭の良いお役所の人でも、つい20数年前には、この思考の隘路に陥っていたという証拠でもあります。

当時の行政官が悩んだ原因としては、
「穴を掘って土をそこに埋めたとしても、廃棄物を埋めたわけではないので、不法投棄と言えないのではないか?」という疑念を消せなかったためと考えられます。

たしかに普通の土を穴に入れたとしても、それは廃棄物の不法投棄には成り得ませんが、
産業廃棄物の廃油を意図的に混ぜた土は、産業廃棄物の廃油という性質が消えたわけではなく、土そのものに変化したわけでもないため、それを土中に埋める行為は廃油の不法投棄と同視できます。

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