現地確認≠立入検査(その2 チェックリストの注意点)

前回の記事「現地確認≠立入検査(その1 現地確認の目的)」では、現地確認を「信頼できる処理業者を見分けるための与信調査」として位置付けました。

今回は、「チェックリストの注意点」について書きます。

多くの自治体が、排出事業者向けに「現地確認の際にはここを見ればイイよ」というチェックシートを公開しています。

例:相模原市の様式
※あくまでも行政が公開している様式の実例として引用するもので、相模原市の様式を批判する趣旨ではありません。むしろ、相模原市のサイトは、他の自治体よりもかなり見やすく整理されています。
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このように、行政が良いと考えるチェックポイントの大部分は、産業廃棄物処理基準からの引用です。

もっと正確に言うならば、「立入検査の際のチェックシートを転載」している自治体がほとんどです。

チェックシートは、一応「チェック者の主観に拠らずに、客観的な基準に基づく評価が可能になる」という建前で運用されています。

しかしながら、備品のチェックリストなら話は簡単ですが、他者を評価する際に評価者の主観を絶対に交えないというのは実は困難なのです。

先に掲載したチェックリストの中から一例を示すと、
中間処理施設のチェック項目として、

(2)搬入される産業廃棄物の内容、量を適切に確認しているか。

と書かれています。

ここに書かれた「適切」というのは、何をもって適切と評価するべきなのかがよくわかりません。

おそらく、このリストを公開している自治体の職員の中でも、「適切」の定義をスラスラと答えられる人の割合は少ないと思います。

もちろん、廃棄物処理法では、「3分に1回の頻度で搬入物の展開検査をすること」などと書かれていませんので、チェックの基準を数値で明示することはできません。

そのため、このように抽象的な2文字の漢字で表現するしかないのですが、
この一文だけでもわかるように、数値化、あるいは基準が具体的に書かれていない内容を評価する際には、評価者の主観や経験、知識が反映された結果になってしまいます。

それを前提として考えると、「同じ質問であっても、自治体によって回答が異なるケースがある」ことや、「同じ自治体でも、職員によって指導内容が異なることがある」ことを納得いただけると思います。

自治体職員も人間である以上、主観が入る部分では個人差が現れるからです。

さらに重要な論点として

排出事業者が処理基準を細かくチェックすることに意味があるのか?

という問題があります。

自治体職員でも、チェックリストがあると、チェックリストに○×を付けることのみに注意が行き、廃棄物処理法違反という、より根本的な問題の把握に失敗するケースが多々あります。

自治体職員でも難しい立入検査であるのに、
専門家でもない排出事業者が、チェックリスト片手に処理業者の操業にケチをつけて回る
という状況は、(辛辣ですが)いささか滑稽です。

(8)産業廃棄物の種類ごとに埋立基準(廃棄物処理法施行令第6条第3号へからムまで及び第6条の5第3号ニからツまでに掲げられる基準)に合った処分をしているか。

もはやこのレベルの表現になると、法令集を参照しながら確認をしない限り、現場で満足なチェックすら不可能です。

もちろん、委託先処理業者が廃棄物処理法違反をしていないことは、最も重要な基準です。

しかし、このように重箱の隅を突くがごとき、処理業者の操業の細部をチェックすることまでは廃棄物処理法は求めていません。

排出事業者に必要なことは、
もっと簡易に、そして誰にも明らかな基準で、処理業者の操業の問題点をチェックする方法です。

(次回に続く)

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