「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」の改訂

6月6日付 環境省報道発表 廃棄物情報の提供に関するガイドライン(第2版)について(お知らせ)

 環境省では、排出事業者が処理業者に対して、産業廃棄物の処理を委託する際に提供する廃棄物情報のあり方を示す「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」を平成18年に策定しています。
 昨年、利根川水系における取水障害の事案の発生を受け、廃棄物情報の伝達について、さらなる具体化及び明確化を図るため、廃棄物データシート(WDS)の記載内容を見直すなど、「廃棄物情報の提供に関するガイドライン(第2版)」として改訂を行いましたのでお知らせします。

1.改訂の背景
 廃棄物を適正に処理するため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)に定める産業廃棄物の委託基準では、産業廃棄物の排出事業者は、適正処理のために必要な廃棄物情報を処理業者に提供することとされており、環境省では、必要な廃棄物情報を具体的に説明するため、「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」を策定・公表しているところです。
 しかし、平成24年5月に利根川水系の複数の浄水場で水道水質基準を上回るホルムアルデヒドが検出された事案では、排出事業者が処理を委託した廃液に、ホルムアルデヒドの前駆物質であるヘキサメチレンテトラミンが高濃度に含まれていることが処理業者に伝達されず、適切な処理が行われなかったことが原因であると強く推定されました。このため、こうした事案の再発防止と、排出事業者から処理業者への情報伝達についてのさらなる具体化・明確化を図るため、当該ガイドラインについて、必要な内容の見直しを行いました。

2.改訂内容の概要
(1)情報提供が必要な項目の追加
 廃棄物情報が必要な項目を整理し、次の項目を追加するとともに、廃棄物データシート(WDS)の様式を見直したこと。
[1]PRTR対象物質、[2]水道水源における消毒副生成物前駆物質、[3]関連法規(危険物等)
(2)双方向コミュニケーションの重要性を強調
 廃棄物の情報は、排出事業者から処理業者への一方通行ではなく、情報のやり取りを通してより正確な情報となり、当該廃棄物の適正処理が可能となることを認識し、排出事業者及び廃棄物処理業者がともに本ガイドラインの活用により、コミュニケーションを活発に行うことが重要であるとしたこと。
(3)対象廃棄物の整理
 外観から含有廃棄物や有害特性が判りにくい汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリの4品目を主な適用対象と明記し、廃棄物の性状が明確で、環境保全上の支障のおそれのない廃棄物に関しては、WDS以外の情報の提供でも可能としたこと。
(4)情報提供の時期
 WDSは、基本的には契約時に提供し、契約書に添付するものであるが、新規の廃棄物処理に際して受入れの可否判断や処理に必要な費用の見積りのために排出事業者から処理業者へWDSを提供、あるいは処理業者と共同作成により情報を共有し、双方が確認、署名した上で契約書に添付することが望ましいとしたこと。
 なお、「廃棄物情報の提供に関するガイドライン(第2版)」の本文は、環境省ホームページ
 (http://www.env.go.jp/recycle/misc/wds/index.html)において公表しています。

ガイドライン(第2版)には、「平成24年5月に発生した、利根川水系における取水障害では、・・・」という表現が複数回現れています。

2012年5月に発生した利根川水系でのヘキサメチレンテトラミン流出事件が、ガイドライン改訂の契機になったのは紛れもない事実だと思われます。

この事件では、ヘキサメチレンテトラミンという個別の化学物質を委託契約書やWDSに記載する義務があるかが問題となりました。

ガイドライン(第2版)では、WDSに「水道水源における消毒副生成物前駆物質」として、廃棄物にヘキサメチレンテトラミン他の7物質が含まれる場合はWDSに明示することとされ、様式中にそれらの8物質が明記されています。

また、第2版の特筆すべき改良点としては、
WDSの運用対象を、「外観から含有廃棄物や有害特性が判りにくい汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリの4品目を主な適用対象と明記」した点です。

他の産業廃棄物については、WDS以外の情報提供(例えば、サンプルの提供や発生工程フローの明示など)で良いと説明しています。

これらの内容については実は第1版でも書かれていたのですが、第2版では改めて個別の産業廃棄物の種類を挙げ、運用対象をさらに具体的に明示しています。

その他、双方向コミュニケーションの一例として、

というフロー図が示されています。

現実問題としては、処理企業においてこのフロー図のように、排出事業者と対等にコミュニケーションできる企業は少ないかと思いますが、実際にこういった交渉ができている優良な処理企業もありますので、一歩ずつ改善を進めていただければと思います。

ガイドライン(第2版)では、排出事業者と処理業者双方が実際に体験した事故事例が紹介されています。

表 2-1 排出事業者アンケート結果におけるヒヤリハット/事故事例
【廃酸/化学工業】グラスウールが混入していたため、処理会社の処理ラインが閉塞及びローリーからの払出しがうまくできなった。処理業者に謝罪し、フィルターを装着した。

表 2-2 処理業者アンケート結果におけるヒヤリハット/事故事例
【廃酸】
・いつも受け入れている廃棄物と思い、通常通りの処理薬剤を投入したところ急激な反応をおこしガスが発生した。
・サンプルとは異なり、沈殿の多いものであった(噴霧焼却に向かない)
・分析廃液の中に鉄シアノ錯体が混入していることを排出事業者が気づかず、そのまま処理を委託した。処理前の分析で発見した。

ヒヤリハットどころではなく、重大な事故に発展しかねないケースですが、情報提供が不適切な場合に起こった実例としても貴重なものです。

「製品の原料に混入した不純物のせいで製造プラントが止まった、あるいは有害物質が発生した」という事態になれば、製造業者であれば相当強烈なクレームや、損害賠償請求をするはずです。

それが、上記の実例のように処理業者のプラントを止めながらも、単なる“謝罪”で済んでいるというのは、処理業者の懐が深いのか、処理業者と排出事業者が対等な立場で取引していないのか・・・

今は謝罪だけで済んでいますが、今後は処理業者側も、排出事業者と対等な立場で交渉をし、「想定外の異物混入のせいで処理プラントが止まったような場合は損害賠償請求をする」などと、事故発生時の危険負担を契約書に明記するようにした方が良いと思います。

廃棄物処理も通常の商取引の一環である以上、これは当たり前の要求です。

排出事業者の場合は、「自分にやられて嫌なことは他人に対してしない」という基本中の基本の道徳に立ち返り、そうしないためにも、WDSなどで処理業者と適切に情報共有を進めていくようにしましょう。

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