マニフェストに関する受付担当者の注意点

2015年8月24日付 「実務で最大の弱点となるものは?
2015年8月25日付 「産業廃棄物処理業者がマニフェストでやってはいけないこと
2015年8月28日付 「マニフェストに関するドライバーの注意点

の続編です。

今回は、中間処理事業所等における産業廃棄物引受け時の注意点です。

受け入れ物とマニフェストの記載内容の照合

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基本中の基本とも言える動作ですが、完璧に実行できている企業は意外と少ないものです。

その理由は、「受付担当者の忙しさ」と「確認ポイントを教えていない」という二点に尽きます。

まずは、マニフェストの概要や、チェックして欲しい点をちゃんと覚えてもらうことが第一歩となります。

その他、産業廃棄物を持ってきた車は1台なのに、そのドライバーが持参したマニフェストは3通というケースにも注意が必要です。

この場合、複数の回収拠点を経由して、産業廃棄物の積み合わせをすること自体は違法ではありません。

しかしながら、違法ではないということだけで安心してしまい、マニフェストに書かれた「数量」と、実際に持ち込まれた産業廃棄物の量の照合を怠るのは非常に危険です。

「持ち込まれた産業廃棄物の容積を1立方センチメートル単位で計測せよ」と言うつもりはありませんが、
少なくとも、持ち込まれた産業廃棄物の「種類」と「数量」と、マニフェストの記載内容を照合し、明らかに不整合である場合は、ドライバーや、場合によっては収集運搬業者や排出事業者に事情を確認するようにしましょう。

「取りあえず受入れだけ済ませて、後でマニフェストの記載を修正しておこう」という小手先の対策だと、それを忘れたり、場合によっては虚偽記載とみなされる可能性もあります。

産業廃棄物の受入れをした後では、是正のために中間処理業者ができることは著しく少なくなります。

「産業廃棄物は受入れをするまでが勝負」と心得、受付の段階で疑わしい点を極力排除することが重要です。

虚偽記載をしない

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「ウソを書いているつもりがないのに虚偽記載に該当する」事例としては、
産業廃棄物の受付時に、「処分終了年月日」を記入し、ドライバーにC2票をその場で渡すという行為があります。

実際には受付をしただけで、中間処理を一切していないのに、それを「中間処理をした」として日付を記入する行為は、廃棄物処理法では虚偽記載以外の何者でもありません。

「そうは言っても、ある産業廃棄物を中間処理し終えた正確な日なんてわからない」という反論が有ろうかと思いますが、
だからといって、中間処理をしていないのに、中間処理をしましたと嘘の報告をしても良い決まりはありません。

マニフェストに記入する際には、真摯かつ誠実な姿勢で臨むようにしてください。

受付終了後E票をドライバーに返さない

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がれき類の破砕をしている中間処理事業場でよくこの光景と出くわします。

「破砕後のがれき類は砕石になるので、当社はがれき類の再生処理をしているのである。」
「したがって、当社に搬入された時点で、すべからくすべてのがれき類は建築資材に生まれ変わるのである」
と言いたいところだろうと思いますが、これも論理が飛躍しすぎです。

仮に、受け入れたがれき類のすべてが売却可能な砕石になるのだとしても、業許可が「破砕」である以上、「再生」でも「最終処分」をしているわけではありません。

このケースの場合は、中間処理(破砕)が終わった段階で、産業廃棄物の処理が完了したことになり、E票を運用する必要はありません。
(この場合はE票を運用する必要がない以上、E票をドライバーに渡しても違法ではない)

上記のケースは、受け入れたがれき類のすべてが売却可能な砕石になるという前提ですが、
現実では、「99%は砕石になるが、1%程度は最終処分場で埋めている」というケースが有ろうかと思います。

その場合は、1%とは言え、最終処分場までマニフェストが回る可能性がありますので、産業廃棄物の受付時点でE票をドライバーに返すことは「虚偽記載」に該当します。

そもそも、E票は収集運搬会社のドライバーに渡すものでもありませんが。

このように、がれき類の破砕の場合、最終処分が必要な物とそうではない物の両方が存在しますので、E票の返送が必要になるケースと、必要でないケースの両方が想定されます。

どちらの対応をすべきかはじっくりと考えていただくとして、
「受付時に機械的にE票をドライバーに渡す」という運用が違法になるケースもあり得るわけですし、
行政から見て虚偽記載と紛らわしい行為をする必要もないでしょうから、
同じようなことをしている企業の場合は、その行為に違法性が無いかを慎重に確認しておいてください。

以上で、マニフェストの運用に関する注意点の解説を終了します。

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