虚偽だったのか、それとも正直だったのか

最近のマスメディアは自信が無いのか、すぐにネット上の報道を消去します。

先週は急な仕事の発生でブログの更新がままならず、旬なネタへのツッコミができませんでしたが、わずかに保存していたキャプチャー画像を元に、メディアリテラシーの妥当性を検証したいと思います。

さて、今日取り上げるのは、7月13日付の中日テレビの報道です。

記事が消去されているため、ネット上に所々残る情報の残骸から見出しと報道内容の一部を抜粋します。

まずタイトルですが、「ダイコーから壱番屋への報告書に誤記載」というものでした。

おそらく、マニフェストのことかと思いますが、たしか壱番屋とダイコーは電子マニフェストを運用していたはず。

ここは「報告書」ではなく、「処理終了の報告」等と記載すべきでした。

また、「誤記載」という表現にも違和感があります。

この表現だと、ダイコー側に悪意は無く、単なる過失で報告内容を間違えたかのような印象を与えてしまいます。

次に、報道内容のほんの一部分ですが、

産廃業者のダイコーが、壱番屋に廃棄物処理の結果などを報告した文書に過去5年間にわたって誤った記載があったことが分かった。

とあり、これもタイトルと同様に、過失で誤記載をしていたような表現となっています。

さて、肝心の誤記載の内容についてですが、報道では次のような電子マニフェスト管理画面の画像が掲載されていました。

daiko

処分量ではなく、「有価物拾集量」に数値が記載されていることをもって、誤記載と定義しているようです。

壱番屋が委託をしていた量がわかりませんので、一部のみを有価物として報告していたのか、それとも受託量の全量を有価物として報告していたのかはわかりませんが、ダイコーは愛知県知事から積替え保管許可を取得していたため、電子マニフェストでこのような記載をすること自体は違法ではありません。

もし、受託量の全量を有価物として拾集していた(転売)と報告していたのであれば、誤記載どころか、ダイコーはたぐいまれなる正直者ということになります。
(一般的には、排出事業者から怒られるのが確実となる、そのような報告をわざわざしない)

廃棄物処理法上、食品廃棄物を転売してはいけないとは規定されていませんので、積替え保管の一環で転売すること自体は法律違反ではないからです。

もちろん、普通は廃棄品を食品として買い取る仲買人はいないでしょうし(実際はいたけど…)、転売を認める排出事業者も皆無と思いますが、電子マニフェストで有価物拾集量が報告されている以上、排出事業者は「転売されていたなんて知りませんでした」とは決して言えません。

一切有価物拾集量を報告せず、全量を処理したかのように報告していたのであれば、ダイコーは電子マニフェストの虚偽報告をしていたことになりますが、
こうして正直に(?)、有価物拾集量を報告している以上、虚偽報告は成立しない可能性が高くなります。

そのため、廃棄物処理法違反ではなく、「詐欺」という犯罪での立件となったのかもしれません。

このように、現行のマニフェスト制度には、致命的な欠陥があることがわかりました。

その欠陥を(環境省が)容易にふさぐ方法が一つあるのですが、ブログで公開するのはもったいないので、今後の講演等でのみお話しする予定です(笑)。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ