2017年改正案の概要が明らかに

環境省のメールマガジンが配信停止された途端、廃棄物処理法改正案が閣議決定されたという非常に重要な発表がありました。

2017年3月10日付 環境省発表 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案が、本日3月10日(金)に閣議決定されましたので、お知らせいたします。本法律案は第193回国会に提出する予定です。

1.法改正の背景
 平成28年1月に発覚した食品廃棄物の不正転売事案などを受け、許可を取り消された廃棄物処理業者等に対する対応の強化や、不適正処理があった場合に行政機関による早期の実態把握・原因究明が可能な電子マニフェスト利用の強力な推進が必要となっております。
 また、鉛等の有害物質を含む、電気電子機器等のスクラップ(雑品スクラップ)等が、環境保全措置が十分に講じられないまま、破砕や保管されることにより、火災の発生や有害物質等の漏出等の生活環境保全上の支障が生じており、対応の強化が必要となっています。
 これらの課題に対処するため、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案」を平成29年3月10日(金)に閣議決定し、第193回国会に提出することとなりました。

2.法律案の概要
(1)廃棄物の不適正処理への対応の強化
1.市町村長、都道府県知事等は、廃棄物処理業の許可を取り消された者等が廃棄物の処理を終了していない場合に、これらの者に対して必要な措置を講ずることを命ずることができることとする。また、当該事業者から排出事業者に対する通知を義務づけることとする。
2.特定の産業廃棄物を多量に排出する事業者に、紙マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付に代えて、電子マニフェストの使用を義務付けることとする。また、マニフェストの虚偽記載等に関する罰則を強化する。
(2)有害使用済機器の適正な保管等の義務付け
 人の健康や生活環境に係る被害を防止するため、雑品スクラップ等の有害な特性を有する使用済みの機器(有害使用済機器)について、
・これらの物品の保管又は処分を業として行う者に対する、都道府県知事への届出、処理基準の遵守等の義務付け
・処理基準違反があった場合等における命令等の措置の追加
等の措置を講ずる。
(3)その他
 親子会社が一体的な経営を行うものである等の要件に適合する旨の都道府県知事の認定を受けた場合には、当該親子会社は、廃棄物処理業の許可を受けないで、相互に親子会社間で産業廃棄物の処理を行うことができることとする。

3.施行期日
2(1)2.以外:公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日
2(1)2.  :公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日

公布日から3年以内に施行される予定は、「特定の産業廃棄物を多量に排出する事業者に、紙マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付に代えて、電子マニフェストの使用を義務付けることとする。また、マニフェストの虚偽記載等に関する罰則を強化する。」の部分で、それ以外の3項目は、公布日から1年以内に施行される予定とのことです。

詳細はこれから別記事で解説していくとして、上記の改正案は、すべて廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)で挙げられていたものです。

2010年改正と比べると、改正規模はより小さくなったと言えるでしょう。

個人的感想としては、どれも廃棄物処理制度の根幹とは言い難い、対症療法にすらなっていないパッチ処理ですので、「なんだかなあ~」の一言です(苦笑)。

また、マニフェストの虚偽記載に関する罰則が強化されることから、“非意図的な”虚偽記載で行政処分の憂き目に遭う産業廃棄物処理企業の姿が、早くも目に浮かんでしまいました。

マンパワー不足気味の地方自治体(特に都道府県)に、雑品スクラップヤードの規制監視という更なる重しをかけることにもなりますので、他の大事な基幹業務に悪影響が出ること必至です。

現役の公務員の方は、平成30(2018)年度からは産業廃棄物の担当になるのを回避した方が良いかもしれないと、半分本気でアドバイスさせていただきます。

次回から、改正法案の詳細を個別に解説していきます。

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