令和元年度廃家電の不法投棄等の状況について

2021年1月21日付で、環境省から「令和元年度廃家電の不法投棄等の状況について」の発表がありました。

 令和元年度に全国の市区町村が回収した、不法投棄された廃家電4品目(エアコン、テレビ(ブラウン管式及び液晶・プラズマ式)、電気冷蔵庫・電気冷凍庫、電気洗濯機・衣類乾燥機)の台数(推計値)は、51,800台(前年度54,200台)で、前年度と比較して減少しました。品目ごとの割合は、エアコンが2.5%、ブラウン管式テレビが32.3%、液晶・プラズマ式テレビが24.7%、電気冷蔵庫・電気冷凍庫が23.9%、電気洗濯機・衣類乾燥機が16.7%でした

平成23(2011)年度に急増した時を除けば、廃家電の不法投棄は年々減少していると言えます。

昔から環境省が公表していた内容ではありますが、今回初めてその存在に気づいた項目について言及しておきます。

この表を見ると、「都市部の不法投棄は少なく、非都市部の不法投棄の方が圧倒的に多い」という印象を受けてしまいます。

別の言い方をすると、「都市部の住民のモラルは高く、非都市部の住民のモラルは低い」と言われているような気がします。

はたして本当にそうなのでしょうか?

この項目「1万人あたりの不法投棄回収台数」という点がキモとなります。

そもそも、人口密度が高い都市部においては、廃家電を容易に捨てられる場所が少ないため、そこに住む住民のモラルとは無関係に、不法投棄が発生しにくいという構造があります。

一方で、人口密度が都市部よりも低い場所においては、都市部よりも廃家電を捨てる場所を見つけやすいということは紛れもない事実です。

そのため、非都市部においては、不法投棄が発生しやすい状況があるにもかかわらず、「1万人あたりの不法投棄回収台数」という変数操作(?)が加わることによって、実態以上に不法投棄件数が膨らんでしまっているように思いました。

たとえば、「人口5千人の村(面積30平方キロメートル)において、冷蔵庫が3台不法投棄された場合」と、「人口10万人の市(面積50平方キロメートル)において、洗濯機が5台不法投棄された場合」を比較すると、
「1万人あたりの不法投棄回収台数」では、
「人口5千人の村」の不法投棄は「冷蔵庫6台」に水増しされますが、
「人口10万人の市」の不法投棄は「冷蔵庫0.5台」になってしまいます。

これでは、人口が少ない地域ほど、不法投棄台数が増大することになってしまいます(苦笑)。

「人口」だけを考慮して不法投棄台数を比較してしまうと、このように著しく偏った変数操作が起きてしまいます。

これが「面積」による比較だと、村と市の不法投棄台数は、どちらも1平方キロメートルあたり0.1台となりますが、やはり、それも偏った変数操作と言えましょう(笑)。

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