産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(令和3年度実績)

2日前の令和2年度データに引き続き、本日は令和3年度データをご紹介します。

2023年5月30日に、環境省から、「産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(令和3年度実績等)について」が発表されました。

1.産業廃棄物処理施設の設置状況(≒日本全体の産業廃棄物処理能力)

前年度に引き続き、令和3年度の産業廃棄物処理施設数は、前年度よりも31施設減少しました。

産業廃棄物処理施設数が前年度よりも減少するのは極めて珍しい状況です。

増減の主な内訳は、
中間処理施設が前年度よりも1施設増加
最終処分場が前年度よりも32施設減少
となっています。

前年度よりも施設数が増えた施設は下記の4施設です。

「廃酸・廃アルカリの中和施設(+13【前年度の施設数との比較、以下同様】)」
「廃プラスチック類の破砕施設(+48)」
「木くず又はがれき類の破砕施設(+20)」
「廃プラスチック類の焼却施設(+1)」

2.産業廃棄物処理業の許可件数

事業者数ではなく「許可件数」ですので、一社で複数の自治体の許可を取得した場合、その許可件数がすべてカウントされることになります。

2015(平成27)年以降、許可件数は増加傾向にあり、令和3年度は「257,295件」でした。

気がつけば、収集運搬業許可については、都道府県のみならず、個別の政令市の許可取得が必要だった時代の、平成15(2003)年度の総許可件数「254,845件」を上回る件数となっています。

積替え保管をしない限りは、都道府県だけの許可取得で足りる現在の状況を考えると、産業廃棄物処理業への新規参入が年々増えているように思えます。

既存の許可業者が新たな自治体の許可を取得するケースももちろんありますが、右肩上がりの増加傾向を見ると、既存業者の投資意欲だけでは説明が付かないからです。

自主的に業許可を廃止する「廃止届」は1,942件と、前年度よりも135件増加しています。

ということは、既存業者の廃業が進む一方で、やはり新規参入がそれを上回るペースで増えているように思えます。

3.取消処分件数の推移


令和3年度の許可取消件数は、前年度よりも32件少ない224件でした。

近年の許可取消件数の減少傾向の理由は、正確な数字を取ったわけではありませんが、
欠格要件に該当した場合の「義務的取消」ではない、自治体に取消すか否かの裁量余地を残す「裁量的取消」が年々減っているためではないかと思います。

「不適正処理に目をつぶってくれる優しい(?)自治体が増えている」と言えなくもありません。

真面目な処理業者にとっては、あまり嬉しくはない状況ですね。

4.最終処分場の状況


令和3年度は、最終処分場の残存容量(埋立可能な容積)が前年度よりも1,402万立法メートル増加しました。

その一方で、最終処分量は、前年度よりも40万トン減少し、869万トンでした。

その結果、最終処分場にあとどれくらいの期間埋立てられるかの目安となる「残余年数」は、前年度よりも2.4年長くなり、19.7年となりました。

大規模処分場のオープンが相次ぐ一方で、最終処分する廃棄物の量は減少している状況は、「持続可能な社会」にさらに近づいたと言えるかもしれません。

正規の最終処分場が増えると、処分コストが低減する可能性があり、それに伴って不法投棄も減少する(あくまでも)可能性があります。

「最終処分場の状況」は、今後の産業廃棄物処理市場を考える際の重要な判断要素ですので、「最終処分量が減少し続けるかどうか」を注視していく必要があります。

その他

「法第19条の5に基づく措置命令」は21件と、前年度よりも16件増加しました。
「法第19条の6に基づく措置命令」は相変わらずの0件です。

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