抗議案件?

「抗議案件?」というタイトルにしましたが、
廃棄物処理法に関するブログであるため、
抗議すべき者としては、「答案をなくされた生徒」ではなく、「ヤマト運輸」を想定しています。

まずは、報道の該当部分をご覧いただきましょう。

2023年6月2日付 NHK 「全国学力テスト 名取の中学生28人分の解答紛失 採点できず

ことし4月に行われた全国学力テストで、名取市の中学生28人分の解答が紛失し、採点できなくなっていたことが分かりました。
廃棄物として処理された可能性が高く、文部科学省は保護者らに謝罪し、希望者に再度テストを行うとしています。

全国学力テストは、英語の一部を除いてことし4月18日に行われ、小学6年生と中学3年生およそ200万人が参加しました。
文部科学省によりますと、このうち名取市にある閖上小中学校の中学生28人が解答した用紙が集荷後に紛失し、採点や返却ができなくなっていたことがわかりました。
回収に来たヤマト運輸の従業員が、解答用紙が入った段ボールに、廃棄物処理業者に送る荷物の伝票を誤って貼り付けていたということです。
その後誤りに気付き、文部科学省やヤマト運輸が廃棄物処理業者や関連する工場を探したものの見つからず、解答用紙は廃棄された可能性が高いということです。

報道内容のおかしな点にお気づきでしょうか?

この報道では、

廃棄物処理業者に送る荷物の伝票を誤って貼り付けていた

と書かれています。

宅配便という業務の特性上、どこかを目的とする伝票を貼り付けていたのは確かでしょう。

しかしながら、この報道の表現に従えば、
「ヤマト運輸は一般廃棄物に該当する紙くずの運搬をしていた」ことになり、
「ヤマト運輸は一般廃棄物収集運搬業の無許可営業をしていた」ことになってしまいます(汗)。

これでは、企業としての名誉を傷つけられたことになりますので、報道表現の訂正を求めてもおかしくはないところです。

とはいえ、送り先の伝票を貼り間違えたやましさがあるため、おそらくそのような強硬な措置には出られないと思いますが。

種明かしをすると、「廃棄物処理業者」ではなく、「機密書類処理業者」に送ったものと思われます。

言うまでもなく、「廃棄物処理業者」と「機密書類処理業者」は、まったく別の種類の事業者となります。

もちろん、中には両事業を兼業している企業も実際にありますが、法律上は別種類の事業でしかありません。

宣伝になるのでリンクは貼り付けませんが、ヤマト運輸は「機密文書リサイクルサービス」という事業を全国展開済みです。

未開封のままボックスごと100%溶解するので、情報漏えいの心配はありません。溶解したものを完全リサイクルする、エコロジーな処理方法です。

と、同社HPでは謳われています。

たしかに、外部へ情報漏洩はしませんでしたが、
情報漏洩対策が徹底していたために、箱の中身をチェックすることなく、答案という機密情報を完全にこの世から消去してしまうという、皮肉な結末となりました。

ちょっとした不注意と過失から引き起こされた、典型的なヒューマンエラーでした。

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