使うあてが無いのに集められる産業廃棄物税

毎日新聞 産業廃棄物税:県が継続へ 「排出抑制、投棄防止に効果」 /宮崎 から抜粋・転載します。

(宮崎)県は、ゴミの埋め立てや焼却に課する「産業廃棄物税」を来年度以降も継続する方針を決めた。導入から5年になる本年度、見直しの是非を検討していた。来年の2月議会にも関係条例を提出する。県環境対策推進課は「排出抑制や不法投棄防止に効果があるため」と説明している。

現在、埋め立て1トン当たり1000円▽焼却で同800円を徴収している。税収から徴収経費を差し引いた分を基金に入れ、それを不法投棄監視員の人件費などに充てている。

県によると、昨年度の産廃物は4万3000トンで、税を導入した05年度から約8000トン減った。産廃税の抑制効果とみられる。基金を原資とした監視体制の強化で、不法投棄も防げるという。

産廃税は九州全県で導入しており、本県だけ廃止すると一気に廃棄物が持ち込まれるおそれもある。こうした事情から県は産廃税継続を決めた。

確かに、産業廃棄物税を導入すれば、コストの増加を嫌がる排出事業者が、産業廃棄物税のかかる地域では産業廃棄物を処理しなくなるため、その地域での産業廃棄物発生量は減少します。

しかし、日本全体でみた産業廃棄物の発生量自体は、産業廃棄物税が色々な地域で導入された後でも、ほとんど減少していません。

産業廃棄物税がかかる地域から、産業廃棄物税がかからない地域に、産業廃棄物が流出しているわけです。

九州と中国地方は、すべての県が産業廃棄物税を導入しているため、地域内で廃棄物処理をする場合には、産業廃棄物税の課税を免れることが不可能です。

このように、地域全体で課税をしないことには、産業廃棄物税導入の効果は限定的となるのは自明です。

その意味では、今回の宮崎県の判断は理にかなったものと言えます。

ただし、

一方、基金残高は昨年度末で2億7300万円に上り、県財政が厳しい中、税収過多で残高は膨張し続ける。ところが産廃税は目的税であるため、使途は排出抑制やリサイクル推進事業に限られる。本年度も2億4900万円の税収が見込め、消化には苦慮しそうだ。

使う用途が限定されている税金を、意味も無く集め続けるというのは「酷」であり、本当に有効な使い道を早急に考え出す必要があるでしょう。

税収が多すぎるのであれば、税率を引き下げることも検討するべきです。

産業廃棄物税は、税収を増やすためというよりは、資源の再生や有効利用を促進させるためにかけられる税金ですので、税金の多寡が問題ではありません。

もちろん、無料同然の、著しく安い税金では意味がありませんが、1年では使いきれないほどの多額の税金を集め続ける必要はないはずです。

経済の冷え込みが激しい現状では、1~2年といった短期間での時限措置でも構いませんので、もう少し弾力的に制度設計をしてもらいたいものです。

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