欠格要件という身近な落とし穴

昨日書いた 一般廃棄物大手処理業者の許可取消に伴う後始末 の詳細が、3月3日付けのasahi.comに掲載されていました。

許可取り消した業者を臨時職員に 田辺市のゴミ回収

注目したのは、下記の部分

発覚のきっかけは、同社が産業廃棄物処分業などの許可の更新を県に申請したこと。県が役員らの犯罪歴などを関係機関に照会したところ、役員が道交法違反(酒気帯び運転)で懲役8カ月執行猶予4年の判決を受けて昨年3月に確定していたことが分かった。県は今年2月15日付で許可を取り消した。
県の処分公表で市は初めて事態を把握。今月1日付で一般廃棄物収集運搬業の許可を取り消した。

道路交通法の改正を受け、酒気帯び運転が厳罰化されたことは誰でも知っていることですが、
初犯であっても、執行猶予付きの懲役刑が科される可能性が高いことに注意する必要があります。

「執行猶予付きだから、刑務所にも行ってないので無罪だよね」という間違った理解に基づき、素直に許可申請をして欠格者であることが判明というのが、非常に多いケースです。

もちろん、役員である以上素直に申請をしなければならないのですが、
無知とは言え、欠格者であることに気が付かず、会社と従業員を道連れに破滅に突き進むのは不幸の極みです。

駐車違反などとは違い、懲役刑の対象になるような事件を起こした場合、長期間警察署に拘留されて取調べを受けることになりますので、常勤の役員なら、会社側も逮捕拘留の事実にすぐ気が付くはずです。

しかし、名目上の役員などの場合、会社で常に顔を合わしているわけではなく、1週間姿を見ないからといって、その人物が逮捕拘留されていた可能性を疑うことはほぼありえません。

中小零細企業の場合、税金対策として、親戚縁者を名目上の役員としていることが多いものですが、そのような名目上の役員が個人的にした犯罪を会社が知ることは非常に困難です。

しかしながら、知るのが困難だといっても、欠格要件に該当すれば、業許可は必ず取消されることになりますので、何らかの対策を取る必要があります。

折からの税制改正で、役員の所得控除額が大幅に引き下げられることになりましたので、従来のような名目上の役員を設置する必要性は薄れてきています。
※名目上と書いているのは表現の便宜上だけであり、実際には、単なる形だけの役員は税務調査などで否認される可能性が高いのでご注意ください。実際の運用に当たっては、税理士さんとよくご相談ください。

事業の多角化や分社化が難しい中小企業であるほど、役員の選任には気を配っていく必要があります。

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