「環境格付け融資」の本質

5月17日付の日本経済新聞によると、日本政策投資銀行による環境格付け融資が活発だそうです。

記事の一部抜粋及び転載

 日本政策投資銀行の「環境格付け融資」を利用する企業が増えている。資金の使い道が環境関連事業なら通常より低利で借りられるのが特徴。商船三井や大成建設などが投資資金を調達し、累計融資額は年内にも4千億円を超す見通しだ。東日本大震災後、企業は省エネ意識を高めており、「エコ資金」の活用が進みそうだ。

 環境格付け融資は政投銀が企業の環境対策や関連事業を審査し、5段階で格付けする。格付けに応じ「企業の信用力に基づく通常の条件より割り引いた利率で貸し出す」(政投銀)。2010年度の融資実行額は782億円と前の年度から2割増え、3年連続で過去最高を更新。震災後は昨年を上回るペースという。

金を借りる側としては、通常の貸し出し金利より低利になる以上、大変ありがたい制度であるのは間違いありません。

しかしながら、環境事業の目利きを、まったくの門外漢である日本政策投資銀行が行うことに違和感があります。

そこで、どんな格付けを方法を取っているのか、日本政策投資銀行のHPを覗いてみました。

日本政策投資銀行HP 環境格付融資のケース

・世界の環境動向を踏まえた公平中立な評価
 UNEP FI(国連環境計画金融イニシアティブ)、環境省との情報交換を踏まえ120の質問からなるスクリーニングシートを開発
 企業とのインタビューを通じた格付評価

「環境省との情報交換」と「インタビューを通じた格付評価」の2点に、この格付の問題点が凝縮されています。

環境省は事業の本質をまったく理解していません(←言い過ぎ?)し、
金を借りる企業に「事業の将来性」その他をインタビューしたところで、全員が「将来性はあります」としか答えないのではないでしょうか?

そもそも、環境投資が熱心な企業であるほど、融資資金の返済が確実という有意な統計は日本でもアメリカでも存在しないそうです。

とはいえ、「ビジネスローン」と審査方法は似ているものの、
ビジネスローンとは違い、低利で貸し付けをしてくれる以上、やはり大変ありがたい制度と言わなければなりません。

結局のところ、中小零細企業向けではなく、大企業向けの新たな資金調達手段の一つ、というのが
「環境格付け融資」の本質のようです。

有意義か、無意味かという二者択一の価値判断ではなく、
「大企業向けのありがたい資金調達ツール」

それ以上でもそれ以下でもないというのが結論かと。

「格付け」に拒否反応を示した理由と、
「格付け」の存在理由を理解したところで、やっと納得できました(笑)。

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