福島県中部・沿岸部の災害廃棄物処理一歩前進

5月18日付の日本経済新聞に、近々環境省から、福島県内の災害廃棄物処理の指針が出される予定
と報じられていました。

日本経済新聞から、記事を一部抜粋のうえ転載します。

 環境省は17日、東京電力福島第1原子力発電所の敷地外で放射性物質に汚染された福島県中央部や沿岸部の災害廃棄物について、放射性物質を除去できる専用の仮設焼却炉を建設することで、全量の処理が可能との判断を示した。同日発表した放射線量の測定結果で、大半の地点が毎時2マイクロ(マイクロは100万分の1)シーベルト以下と低かったためだ。同省は雨で除染され線量が低下したとみている。

(中略)

 同省はそのまま焼却すると放射性物質が大気中に飛散することを懸念し、各自治体に災害廃棄物を処分しないよう要請していた。今回の測定結果から、放射性物質を除去できるフィルターを装着した仮設焼却炉を建設すれば、がれきを処理できるという。使用後のフィルターや焼却灰の処分法は今後検討する。

 同省は有識者会議で処分方法をまとめた指針を作成した後、国の原子力安全委員会の意見を踏まえ、自治体に処分を認める方針。放射線量が比較的高いがれきは仮設焼却炉で処分を求める一方、線量が低いがれきは通常使っている焼却場での処分を認める方向で、週内にも自治体に通知する。

結論としては、妥当なものだと思います。

放射線量が低い廃棄物を全部高度処理していては、被災地の廃棄物処理がいっこうに進まないからです。

ただ、そうなってくると問題なのは、「線量が低いがれき」の線量が、具体的にはどのくらいの数値になるかです。

ここを早急に決めないことには、実際の廃棄物処理が一切進められませんので、「画に描いた餅」になってしまいます。

ここで詳細は書けませんが、
メールマガジンの読者の方から、災害に起因していない場所で発生した廃棄物から、放射線量が検出されるというケースが現れているという情報を頂戴しました。

災害廃棄物とは言えない廃棄物でありながら、放射性物質が付着してしまうケースが今後ますます増えると思われます。

そのような非意図的汚染廃棄物も災害廃棄物と同時に処理していく必要がありますので、
処理方法の目安となる放射線量の具体的な基準値の設定は非常に重要となります。

また、これもメールマガジン読者の方からのご指摘ですが、
そうやって目前の廃棄物処理を進めていった場合、最終的に残った灰などには、放射性物質が凝縮されることになるため、放射線量が高くなってしまう問題があります。

その問題はすぐには解決できそうにないため、
日本経済新聞の記事にも書かれているとおり、「使用後のフィルターや焼却灰の処分法は今後検討」となっています。

放射線の影響については門外漢であるため、非常に無責任な発言になるかもしれませんが、
焼却灰やフィルターなどは、専用の保管容器で保管をし、最終処分場で他の産業廃棄物とは区分した場所で埋立をするしかないように思います。

または、保管容器での保管ではなく、すぐにコンクリートで覆ってしまう方法も考えられます。

いずれにせよ、発生量が膨大になると思われるだけに、処理費が膨大になることと、最終処分場の寿命を縮めることになるのは間違いありません。

このような事態においては、
「絶対に安全とわかるまでは動かない」という安全策を取るよりは、
「万全と思われるレベルで対策を取った上で第一歩を進め、モニタリングをしつつ、問題があれば迅速に改善」というスタンスを取る必要があると思われます。

環境省に代表される政府対応としては、
前者の慎重姿勢のものがよく見受けられますので、この問題に対しては、迅速な意思決定をお願いしたいと思っております。

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