野党がガレキ処理に関する特措法案を提出

7月7日付日本経済新聞から記事を転載します。

 東日本大震災で生じた大量の災害廃棄物(がれき)を国が直轄で処理するための特例法案の内容が6日、明らかになった。岩手、宮城、福島各県で津波の被害が大きい沿岸部を念頭に、市町村長が要請すればがれきの収集、運搬、処分の事務を環境相が代行できるようにする。自治体の負担を減らし、復興の妨げになっているがれき処理を円滑に進める狙いだ。

 8日にも閣議決定して国会に提出する。自民党、公明党など野党4党がすでに議員立法でがれき処理の法案を共同提出しており、政府は修正協議も視野に入れている。
 環境相はがれき処分の事務を地方環境事務所長に委任することができ、実際には環境省と、仙台市にある環境事務所が代行などを担う。

 がれきの処分費用は2011年度第1次補正予算と関連法で国が全額を負担することになった。ただ全額が補助金ではなく、自治体がいったん地方債を出すなどして資金を調達し、あとで地方交付税でその費用を手当てする仕組みだ。自治体の中には交付税が本当に支払われるか不安視する声もあり、野党の法案では全額補助にすることを盛り込んでいる。

がれき処理をスピードアップさせることには大賛成ですが、そのための手段として、地方自治体ではなく環境省直轄にすることには反対です。

その理由は、地方環境事務所や環境省の事務処理スピードという物理的な問題があるからです。

地方環境事務所には、せいぜい20~30人程度の職員しかおらず、被災地一帯の事務処理を東北地方環境事務所がすべて代行できるとは到底思えません。

個々の事務官の事務処理能力自体は優秀だと思いますが、
環境省の伝統として、「枝葉末節にこだわりすぎる」という悪癖があるため、申請書の一文字一句にこだわるあまり、被災地の廃棄物処理が大きく遅滞することにならないかと危惧しております。

今回の大震災では、「地震」と「福島第1原発」の問題が同時に発生したため、今までの震災廃棄物処理ルールを適用することができず、「とりあえず一時保管」という先延ばし策しか取られてきませんでした。

もはや、既知の震災復興とは違う次元の事態となっていますので、「前例踏襲主義」ではなく、「臨機応変な対処」が必要なことは衆目の一致するところだと思います。

こんな時こそ、果断な判断力を持った政治的リーダーが必要とされるのですが、
震災復興担当大臣の早期辞任など、日本の政治的状況は末期症状を示しております・・・

立派な法律を作っても、何を優先して処理していくのかという政治的判断がないことには、今までと同様廃棄物処理は進まないでしょう。

決意と覚悟を持ったリーダーの登場が待たれるところですが、現代の日本には、そのような資質を持ったリーダー自体が存在しないのかもしれません。

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