日本環境設計は広域認定の壁を越えられるか?

SankeiBiz 業種横断で資源リサイクル 日本環境設計、小型家電など対象

 小型家電や玩具などの使用済み製品を品目の垣根を越えて回収し再資源化する-。リサイクル事業の日本環境設計(東京都千代田区)は、こうした機能を果たす国内初の「業種横断型資源循環システム」の実現に向けて動き出した。関連企業や団体の協力を得て、来年3月までにシステムを構築し運用に移す。省庁や業界の“縦割り”で進むリサイクル対策に一石を投じることになりそうだ。

 同社が目指す仕組みは、事業活動に伴い排出される「産業廃棄物」と、家庭ごみに代表される「一般廃棄物」を横断的にカバーした資源循環システム。廃棄物処理法に基づく広域認定の申請手続きを経て、業種横断リサイクル事業を展開する。

個人的に大変興味があるニュースです。

広域認定制度は、環境大臣の認定を受ければ、全国で廃棄物処理業の許可なしに処理・リサイクルができるという制度ですが、
基本的に、申請をした会社の自社製品しか処理できないという大きな制約があります。

SankeiBizでは、日本環境設計が主体となって広域認定を受けるように書かれていますが、
おそらく、小型家電や玩具の製造事業者多数と連携して、広域認定を申請することになるものと思われます。

自社製品の廃棄物しか扱えないという制約がありますが、
例えば、玩具の製造事業者全部が共同して広域認定を申請すれば、
事実上、玩具すべてを広域認定で処理できることになります。

これ、処理企業にとっても実は大きな問題です。

広域認定の対象製品が増えると、それだけ処理業界に回る廃棄物が減るのですから、
いわば、廃棄物処理ルートの囲い込みが、方々で起こるわけです。 

今のところはまだそのような囲い込みはほとんど起こっていませんが、
建材メーカーやハウスメーカーなどは、着々と広域認定を取得し始めています。

こういった動きは顕在化した時点では「時すでに遅し」であることが多いものです。

リサイクル技術を持っている処理企業は、今年中には製造事業者との連携を模索していただき、
早急に広域認定で処理ルートの囲い込みを図るべきです。

現実に、今ある製品メーカーの広域認定申請をお手伝いしていますが、
環境省がもっと柔軟な運用をしてくれれば、この制度は廃棄物処理・リサイクルルートの流れを一変させる可能性を持っています。

もちろん、今すぐは到底そうなりそうもありません(苦笑)。
必要以上に厳格すぎる運用基準があるためです。

ここ数年のうちに、広域認定のみならず、排出事業者の自社処理設備の低廉化が進むなど、
現在の廃棄物業界の競争条件が一変しそうです。

営業力を強めたり、顧客からの信頼を得るだけでは不十分で、
これからは
動脈と静脈を超えた、資源循環という視点で事業を構築しなければなりません。

ちょこっとだけ 予言、というか、廃棄物規制の歴史から見た予測を書きますが、
産業廃棄物管理票(マニフェスト)は、特別管理産業廃棄物、とくに感染性廃棄物の適正処理を確保するために導入されましたが、
上述した歴史の転換点は、またもや感染性廃棄物の現場から起こってきそうです。

当ブログでも、医療機関での自社処理が進んでいることを何度か取り上げましたが、
競争原理が一変する時は近いと実感しています。

※競争原理が一変というのは、処理単価が安くなる(現在そうなっていますが)という意味ではなく、廃棄物処理の方法そのものが変わるという意味です。

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ぎじゅ

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