遺品回収業の問題

11月25日に配信したメールマガジンを転載します。

 「遺品回収業」という事業をご存知でしょうか?

 私自身は事業の名称は知っていましたが、遺品の整理が必要な場面に出くわしたことがなかったため、具体的に意識したことはありませんでした。

 最近では、「アントキノイノチ(←最初はイノキかと思いましたよ)」という映画で、主人公の男性の職業として遺品回収業が描かれているそうです。

 人が亡くなったとしても、遺品を整理する遺族が身近にいれば、遺品回収業者の手を借りる必要はまったくありません。

 しかし、最近では身寄りのない独居老人の孤独死が急増中で、「無縁社会」というキーワードがささやかれることが多くなってきました。

 遺族がまったくいない場合や、遺族があったとしても、遠方で居住しているため遺品の整理が満足にできないというケースも多いため、遺品回収業者の存在意義が高まっているのは事実です。

 ただ、「遺品」の中には、誰もそれを必要としない不要物が必ず含まれています。

 論理的には、遺品の中の不要物は、廃棄物です。

 そのため、廃棄物となる遺品を運んだり、処分したりする場合には、一般廃棄物処理業の許可が必ず必要となります。

 ただし、一般廃棄物処理業の許可を取ろうとしても、各市町村の廃棄物処理計画との兼ね合いで、誰もが許可を取得できるわけではありません。

 そのような状況を背景とし、業界団体が資格を作り、啓発に努め始めたそうです。

 需要高まる遺品整理士 無許可、不法投棄の懸念も 健全化へ業界団体
 http://www.chibanippo.co.jp/c/news/national/65318

 しかしながら、いくら啓発に努めようとも、無許可は無許可
 目的が手段を正当化することはありません。

 とはいえ、高齢化と人口減少が同時に進む日本では、遺品回収事業の必要性が高まっていくのも明らかです。

 既存の一般廃棄物処理業者の中でも、現状に甘んじない企業で遺品回収事業を始めたところがたくさんありますが、今後はそれらの先進的な処理業者のみでは需要をさばききれない可能性が高いです。

 今必要なことは、遺品回収事業の必要性を認め、
 法律的な位置づけをキチンとすることではないでしょうか。

 別に「遺品回収業法」のような法律を作る必要はありません。

 市町村がその気になれば、「故人の遺品の収集運搬のみに限定する」といった、廃棄物処理法の枠内で、遺品回収事業を定義することも可能です。

 対象物を遺品のみに限定すれば、既存の一般廃棄物処理業者との棲み分けが可能ですので、それほど大きな抵抗も発生しないと思われます。

 なにせ、抵抗が生まれるほど旨みがある事業なら、とっくの昔に多くの処理業者が取り組んでいるはずです。

 遺品の運搬だけなら誰でもできますが、遺族の要望に応えつつ、礼を失しないサービスを提供するというのは、従来の処理業者の仕事とは違う内容の仕事になります。

 どこかの自治体が先鞭をつければ、比較的早期に全国に波及していくと思います。

 トップランナーになるのが好きな自治体は是非お試しください!(笑)

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コメント

  1. 匿名 より:

    ニュースサイトを検索していてこの記事に書かれていた
    「遺品整理士認定協会」という団体に関する記事を見つけました。
    生きた証し 伝えて 県内で初、遺品整理士 2012年03月10日
    http://mytown.asahi.com/nara/news.php?k_id=30000001203100001

  2. 尾上雅典 より:

    情報提供いただき、ありがとうございました。


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