許可取消後の切り札とは

最終処分場の周囲の囲いや水路を破損したまま放置し続けた、最終処分業者の業許可と施設の設置許可の両方が取消されました。

読売新聞 松山市 産廃処理業許可取り消し  レッグ、改善命令応じず

 松山市は19日、同市菅沢町の産業廃棄物処理業者「レッグ」(田和篤社長)について、「市の改善命令に応じない」として、産業廃棄物処分業と産業廃棄物処理施設設置の許可を取り消した。県から産業廃棄物業務が移管された1998年以降、こうした理由で取り消しを行うのは初めて。

 市廃棄物対策課によると、同社は最終処分場の囲いや、地表水の処分場侵入を防ぐ水路を破損の状態で放置。市は5月10日に改善命令を発令したが、同社は改善計画を提出せず、聴聞に対しても「特に言うことはない」と回答し、命令に応じる姿勢がないと判断した。

 今月12日には、汚水放流前に生物・化学処理する施設も故障のまま放置したとして、市が施設修復の行政代執行を開始。市は刑事告発も検討している。

松山市の発表内容 産業廃棄物処分業許可業者・産業廃棄物処理施設設置許可業者に対する許可取消し

報道で気になったのは、松山市の聴聞手続きに対するレッグ社の回答が、「特にいうことはない」という「やけくそ」に見える点。

改善命令や措置命令に対しても何の措置も取っていないようですから、問題を解決する意思が無いと見た方が良さそうです。

その意味では、松山市の迅速な行政処分は全く妥当なものですが、市としてどのように問題を決着させるかが重要になります。

今後の方針としては、報道にもあるとおり、レッグ社の刑事告発が視野に入ってくるものと思いますが、
ここまでやけくそな事業者には、刑事罰でさえ抑止力にならないことが多いのも事実です。

失うものがない(と思っている)事業者が開き直ると、「自爆テロ」に等しい破壊力があります。

もちろん、刑事罰を科すことは簡単なのですが、我が身と引き換えに起こした環境汚染を回復させるのは非常に困難だからです。

松山市の立場として現実的な話をすると、
業許可と施設許可を取消した以上、レッグ社の自発的、かつ抜本的な改善努力を期待していないと思います。

しかし、それでは環境汚染の原因が放置され続けることになりますので、誰かが最終処分場の管理をしていかなければなりません。

言うまでもなく、その誰かは「松山市」となります。

最終処分場は排水処理施設の維持管理その他ランニングコストがかかる施設です。

廃棄物の搬入という売上が立たない以上、今後は支出ばかりが増え、それを税金で賄い続けるのは大変だろうと思います。

これが、日本の法制度の限界です。
許可取消が切り札になるわけではありません。

切り札どころか、後戻りできない道に行政を踏み込ませる「外圧」と言っても良いかと思います。

もはや「一事業者の経営問題」ではなく、「松山市のお荷物」として、市民も関与した行政負担のあり方を決める必要が出てきました。

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