不法投棄をした後はこうなる

まずは、不法投棄が発覚し、裁判が大詰めを迎えた人の場合

産経ニュース 「いいちこ」ボトル不法投棄事件、元社長に懲役1年求刑 滋賀

 人気焼酎「いいちこ」の信楽焼陶磁器ボトルの不良品などを山林に不法投棄したとして、産業廃棄物処理法違反罪に問われた陶磁器製造会社「三彩(さんさい)」(甲賀市信楽町長野)と、同社元社長(74)の論告求刑公判が24日、大津地裁(丸山徹裁判官)であった。検察側は被告に懲役1年と罰金50万円、三彩に罰金150万円をそれぞれ求刑し結審した。判決は11月9日に言い渡される。

排出事業者が廃棄物を自ら不法投棄した事件ですが、「懲役1年と罰金50万円」というのはほぼ求刑の相場どおりです。

初犯の場合、ほぼ確実に執行猶予付きとなりますので、実質的には罰金50万円だけのペナルティとなりそうです。

「元社長」と書かれているため、既に代表取締役からは退任されたものと思われます。

会社にも罰金150万円が求刑されています。大金には違いがありませんが、会社としてはなんとか捻出できる金額でありましょう。

このように、排出事業者の場合は、たとえ不法投棄を行ったとしても、実質的には罰金くらいのペナルティしか与えられません。

もちろん、会社の評判が悪くなるのは確実ですが、それだけで取引が激減するとは考えにくいため、以降真面目に操業すれば、早期に失った信用を取り戻すことも可能でしょう。

しかしながら、廃棄物処理業者の場合はこうはいきません。

日本テレビ 不法投棄指示か、会社社長ら逮捕(北海道)

大量の産業廃棄物を違法に捨てていたとして、帯広市のゴミ収集会社の社長ら3人が逮捕されました。

廃棄物処理法違反の疑いで逮捕されたのは帯広市にあるゴミ収集会社、北海清掃社の社長と常務ら3人です。
容疑者らは産業廃棄物処分場としての許可を受けていない幕別町にある自社の所有地に当時の業務課長に指示して、およそ84トンの廃プラスティックなどを埋めた疑いです。両容疑者は「指示はしていない」などと容疑を否認しています。
警察は、直接、廃棄物を捨てた業務課長の供述やこれまでの家宅捜索で得た物証などから社長らが犯行を指示していたとみて捜査を進めています。

警察が被疑者を逮捕するということは、ほぼ確実に有罪に持っていけるという証拠を警察が握っているということですから、非常に高い確率で、この会社は廃棄物処理法違反で有罪になるものと考えられます。

そうなった場合、たとえ社長をすげ替えたとしても、法人自体に対して罰金が科されてしまうと、それだけで欠格要件になってしまいます。

そうなると、廃棄物処理業の許可も自動的に取消され、同じ事業を営むことは不可能となります。

法律違反で信用を失うという以前に、事業自体を営むことができなくなりますので、会社にとっては突然死に等しい災厄となります。

基本的なお話ですが、

排出事業者の場合は、罰金のみの負担(実質的な意味で)
処理業者の場合は、会社自体の突然死
という、同じ不法投棄であっても、全く違う結末を迎えることになります。

もちろん、排出事業者による不法投棄であっても、悪質性が高い場合は執行猶予が付かない場合も十分考えられますから、法律違反を軽く見てはいけないのは言うまでもありません。

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