不法投棄発覚後にやらなければならないこと

111月10日付毎日新聞 信楽焼不法投棄:会長に有罪判決−−大津地裁 /滋賀

 信楽焼の陶器くずなどを大量に山林に捨てたとして、廃棄物処理法違反罪に問われた信楽焼陶磁器製造業「三彩」と同社の代表取締役会長(74)の判決公判が9日、大津地裁であり、丸山徹裁判官は被告に懲役1年、執行猶予3年、罰金50万円(求刑・懲役1年、罰金50万円)、同社に罰金100万円(求刑・150万円)を言い渡した。

 判決によると、被告は社員らと共謀し、今年3〜4月、4回にわたり、同社の所有地に計4・8立方メートルの陶器くずなどを捨てた。丸山裁判官は「周辺の環境や衛生に悪影響を及ぼす恐れのある行為」と指摘。一方で、「発覚後、投棄されていた廃棄物をすべて適正な方法で処理して原状回復を遂げている」と述べた。

不法投棄を実行した社員ではなく、それを指示した元代表取締役のみが逮捕されていた事件です。

既に当ブログでも、検察から求刑された内容については取り上げていたところです。
不法投棄をした後はこうなる

埋めたものが陶器くずのみであったのならば、裁判長の指摘の「周辺の環境や衛星に悪影響を及ぼす」可能性は非常に低いですが、たとえ環境に影響を全く与えなくとも、不法投棄が犯罪であることには違いがありません。

今回の事件では、自発的に不法投棄物を全量撤去したようですが、
一般的に、不法投棄犯には、弁護士から量刑を軽くするために、自主撤去を強く勧められます。

あまりに不法投棄物の量が多い場合、完全に自主撤去をするのは困難なことがありますが、
それでも、警察が不法投棄量と認定した(=現認等で確定した)量については、公判開始前に自主撤去されています。

上述したように、警察が認定した不法投棄量と、実際に投棄された廃棄物の量が大きく異なることはよくあります。

今回の事件は排出事業者自身による不法投棄でしたが、
委託先から不法投棄現場に廃棄物が流出した場合、委託者(排出事業者)にかかる責任としては、
「警察が認定した不法投棄量」ではなく、「行政が認定した不法投棄量」が中心となります。

不法投棄現場が大きくなればなるほど、
行政の認定量 ≧ 警察の認定量 となりやすくなります。

警察の認定量の場合は、その後の公判に耐えられるだけの確実な証拠を把握している投棄量のみとなりますが、
行政処分の場合には、委託契約書やマニフェストによって推認されるボリュームがある程度の目安となるからです。

言うまでもなく、委託方法に不備がある場合は、行政の認定量がそのまま排出事業者の責任として、委託者に覆いかぶせられることになります。

その場合には、各地で最近頻発しているように、委託者への措置命令が発出され、不法投棄物の撤去などが求められることになります。

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