東京都小金井市が廃棄物減量化に奮闘中

YOMIURI ONLINE ごみでもめた東京・小金井、リサイクル全国一に

 自前の可燃ごみ焼却施設を持たず、近隣自治体にごみ処理を全面的に依存している東京都小金井市が、2011年度の中規模都市のリサイクル率で全国トップに躍り出たことがわかった。

 1人1日当たりのごみ排出量の少なさでも2位。依頼先へのせめてもの誠意か、あの手この手の減量努力が実った形だが、新たに市がごみ焼却施設を建てるメドは立っておらず、心から喜べない“快挙”となった。

 「よそ様にお願いしている立場上、自分のところで少しでも減らさないと……」。ごみ減量の好成績にも同市ごみ対策課の担当者の表情は複雑だ。

 ごみが減った最大の要因には、生ごみの減量に取り組む市民への手厚い補助がある。市は07年度から、各家庭で生ごみ処理機を購入した場合、最大で8割(上限5万円)を助成。11年度までに累計3076件の申請があった。

 家庭から出る紙袋や封筒などの「雑紙(ざつがみ)」と呼ばれる可燃ごみも、資源ごみとして回収している。古新聞と紙ひもで雑紙を入れるリサイクル袋を作り、市役所や公民館で無料配布。09年度からは、市内の複数の障害者通所施設に制作を委託し、市民にも袋の作り方をチラシや市のウェブサイトで伝授している。

雑紙のリサイクル袋がどんなものか興味が湧いたので、小金井市のHPで調べてみました。
小金井市HP ざつがみリサイクル袋の作り方

意外と作るのに手間がかかるようです。

さて、新聞の報道だけを見ると、小金井市が官民一体となってごみ減量化に取り組む美談のように見えますが、
実際は小金井市の廃棄物処理に関する迷走が積み重なった結末と言えます。

Wikipedia 「小金井市」より転載

ゴミ処理
有料化・減量化

2005年8月1日から家庭ゴミの回収が有料化。また、同年7月から順次ゴミ収集所が廃止され、原則として各戸別に回収となる。ゴミ袋は40リットル入りゴミ袋10枚で800円。実施当初と変わって、2012年現在では周辺自治体やゴミ引受先自治体でも同程度の価格の指定ゴミ袋を販売している自治体が多い(武蔵野市、西東京市、府中市は同額。三鷹市は40L10枚で750円)。

生ゴミの堆肥化・肥料化を推進、生ゴミ処理機の購入に対する補助金を積極的に継続して実施。堆肥化促進剤の無料配布も実施。また保育園・小中学校の給食等で出る生ゴミを生ゴミ処理機で回収し、肥料化した上で市内の農家に配布する試みもなされている。夏休みなどの長期休暇中は一般家庭から小学校への生ゴミ持参による回収も行われている。 めずらしいケースとしては2010年より乾燥生ごみ処理済みのごみを資源ゴミとして、希望者へ専用容器を事前に配布し、戸別回収を実施している。

最終処分場には日の出町にある「二ツ塚廃棄物広域処分場」を利用。処分場の設置者は「東京たま広域資源循環組合」(略称「循環組合」)で、多摩地域の多くの自治体が加盟。
旧二枚橋清掃工場の閉鎖

以前は「二枚橋衛生組合」に参加し、その施設でゴミを処理していた。組合は小金井市、府中市、調布市で構成され、3市の境界にある「二枚橋清掃工場」を運営していた。しかし、施設の老朽化が著しく進んだことから建て替えが検討されたが、小金井市民の反対運動が起こるなど実現が不可能な事が判明、2007年3月31日にすべての焼却炉が停止された。2010年3月に組合が解散された。

府中市、調布市は停止計画に沿って事前に対応策を策定し、それぞれ別途他市と構成し直したが、小金井市の対応策は一向にすすむ事が無く小金井ごみ問題が浮上してくる。
小金井市民による市内ごみ焼却場建設反対運動と二枚橋清掃工場跡地へのごみ焼却場建設計画

かつて武蔵小金井駅そばのジャノメミシン工場跡地を新清掃工場の有力候補地としていたが、小金井市民の反対運動により断念し、二枚橋清掃工場跡地にゴミ処理施設を建設することを決めた。しかし、二枚橋清掃工場跡地は、調布市と府中市の市有地であり、そもそも市有地管理の両市の同意を得ずに決定した計画であるため、調布市は拒否している。そのため予定表を作成できず2006年10月1日、無期限でごみ非常事態宣言を出した。
緊急措置

現在、ゴミ焼却施設組合に参加していないため、他市の厚意を受けている。焼却炉停止後は、暫定処置として、隣接の国分寺市と協定を結んだ。内容は二枚橋清掃工場停止後、新ごみ処理施設の計画を策定することを前提に、国分寺市が運営するごみ処理場で焼却処分を受け入れてもらえることとなった。但し、全体の3割分のみの受け入れであり、残り7割はたくさんの他組合に処理を依頼している。2010年度は、稲城市・狛江市・府中市・国立市で構成される多摩川衛生組合に7500トン、日野市に2400トン、昭島市に2000トン、八王子市に1500トンを、それぞれ処理してもらっている。また、西東京市・東久留米市・清瀬市共同運営の柳泉園組合の清掃工場にも受け入れを交渉したが、東久留米市議会が小金井市の計画の甘さを指摘して受け入れに難色を示す意見書を発表した。

市長発言と回収不能の恐れ

2011年4月に稲葉市長による上記の措置に対して、周辺自治体へのごみ委託処理費用の増額分を「無駄遣い」と選挙戦で攻撃していた佐藤和雄が、新市長に当選。しかし選挙戦でのこの発言がかえって小金井市のごみを受け入れていた周辺自治体の反発を招いてしまう。市長選挙前に多摩川衛生組合が受け入れを決めていた平成23年度の搬出枠8000トンを超える約5500トンのゴミについて、新たな搬出受入先が決まらず回収不能のおそれが生じる事態となった。佐藤市長は6月の市議会で、発言について「不適切であった」と陳謝したほか、周辺自治体に「おわび行脚」をしていたが2011年11月1日、「事態打開のため」として辞意を表明。佐藤市長は同月12日に辞職。

同年12月18日の市長選挙で改めてこの問題が争点となり、名指しこそしないものの他候補を痛烈に批判しあうネガティブキャンペーンも含めた1週間の熾烈な選挙戦を経て、「二枚橋焼却場建設」を基本的に維持する考えを示した稲葉元市長が返り咲き当選、再び市長に就任。選挙期間中近隣9市2町の首長が稲葉を応援するために訪れ「稲葉氏が市長を務めなければ、ゴミ問題は解決しない」という応援演説をおこない、緊密な結びつきをアピールしていた。全国紙に取り上げられるほど有名になったゴミ問題であるが、有権者の選挙に対する関心は低く投票率は43.27%と4月選挙(46.16%)を下回った。

2012年4月、小金井市は二枚橋焼却場跡地でのごみ共同処理を断念した事を国分寺市に通知した。2012年2月に、調布市が二枚橋焼却場跡地の自己所有分を不燃物ごみ分別処理施設等に利用する事を決定、小金井市長に伝えていた。これにより、同地での処理場建設が事実上困難となることが確定的になったためと見られている。小金井市は、処理場建設地の再検討はしない意向を示しており、今後は他の自治体の一部事務組合への加入を模索することとなる。

生ごみをたい肥化するのも良いのですが、日々発生し続ける生ごみを肥料として利用するのも限界があります。

小金井市が面積の広い自治体で、農業が盛んな土地柄であれば、かなりの量の肥料を消費できますが、
面積が11平方キロメートルしかなく、人口密度が1平方キロメートル当たり1万人を超えるという土地では、堆肥化で減量をし続けるのにも限界があります。

小金井市のような立地条件で、自前の焼却炉を保持し続けるのは非常に困難ですので、
Wikipediaにあるとおり、今後は近隣の一部事務組合に加入するしかなさそうです。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ