解決済み(?)の不法投棄現場から廃棄物が再出土

2004年に不法投棄があった現場を建設用地として買い、用水路の付け替え工事を始めた途端に新たな廃棄物が出土したとのことです。

2013年9月11日 福井新聞 体育館建設現場から大量産廃 勝山、投棄事件の残りか

 福井県勝山市が同市昭和町2丁目で建設を進める新体育館の工事現場から大量の産業廃棄物が見つかり、不法投棄とみて県が調査していることが10日、分かった。現場は2004年に不法投棄事件があり、当時の廃棄物が残っていた可能性もある。

 市などによると、建設用地は昨年11月、市が市土地開発公社を通じて購入した山林など約2ヘクタール。現場は新体育館の北側に当たり、ことし7月中旬、用水路の付け替え工事中に廃プラスチックやタイヤ、金属くず、木くずなどが出てきた。

 その後も廃棄物が大量に出たため、市は8月に県に通報。これまでに約100立方メートルを確認した。奥越保健所の職員が立ち会い、廃棄物の出た場所や量、種類などを、さらに詳しく調べている。廃棄物は工事に伴い現在も出ている。

 市建設部は「以前に不法投棄があったのは知っていたが、完全に撤去されたという認識だった」と困惑している。新体育館建設工事は続行しており、同部は「廃棄物は県の指導の下、作業に支障がない形で仮置きしている。予定通り16年度のオープンを目指す」としている。

 今後、県の調査で廃棄した者が特定されれば、その行為者が撤去の責任を負う。特定されない場合は土地所有者の市の責任となるが、瑕疵(かし)担保責任として前の所有者に撤去費用を請求できる。県循環社会推進課は「種類や量を特定し、以前の不法投棄事件の関係者にも事情を聴くことになる」と話している。

 04年の事件では、自動車解体作業などで生じた金属や繊維、木くずなどを不法に投棄したとして土木作業員らが逮捕された。同年に県や市の立ち会いの下、廃棄物248立方メートルが撤去された。

なかなか興味深い事件です。

今回出てきた廃棄物が、2004年当時に埋められたものなのか、それ以降に埋められたものなのか。

また、勝山市は土地の全所有者に瑕疵担保責任の履行を求める予定もあるとのことですが、土地の売買契約で瑕疵の定義がどのようにされていたのかに興味があります。

もちろん、不法投棄実行者に撤去責任を負わせるのが当然ですが、10年近く前の不法投棄ですから、運よく関係者の所在を示す書類などが見つからない限り、行為者を特定することは非常に困難だと思われます。

2004年当時から、100立方メートル以上の廃棄物が放置されたままだったとは考えにくいのですが、事実はどうなのでしょうか。

予定通りに工事を終わらせる必要があることからも、現土地所有者の勝山市が廃棄物を撤去せざるを得ないようになりそうです。

ただし、もし委託者が判明し、委託の際に委託基準違反があったことが判明すると、
その委託者に廃棄物撤去の措置命令が出されることもあります。

2004年当時の委託基準違反には、刑事罰を科すことはできませんが、
行政処分には消滅時効がありませんので、9年前の違反であっても、その当時に法律違反であったものには措置命令を出せます。

この瀬戸際に委託者が立たされたとき、
「契約書とマニフェストの保存期間が過ぎたので、すべての書類を廃棄した」と言えば免責されるかどうか?

行政・警察が証拠を有していない場合は、それで逃げられるかもしれませんが、
もし、不法投棄実行者が契約書やマニフェストを保存していた場合は・・・

「捨ててしまった証拠」よりも、「実際にある証拠」の方が説得力を持つであろうことは火を見るより明らかです。

書類の保存義務が無いからといって、過去の契約関係書類を全部廃棄してしまうと、自社を守る貴重な証拠も無くなってしまいます。

もちろん、保存しているのが委託基準違反の契約書ばかりでは意味がありません。

そのための正しい対処法は、先週20日に東京で開催したセミナーでお話ししました。

興味がある方は、DVDの完成を今しばらくお待ちください。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ