処理に困った生コンを不法投棄(?)

毎日新聞 2013年09月30日 12時50分 生コン不法投棄:製造会社社長ら3人を逮捕 愛知県警

 新東名高速道路の建設工事で余った生コンクリートを不法投棄したとして、愛知県警は30日、同県新城市の生コン製造会社「スエヒロ産業」社長、安形憲二容疑者(63)ら同社の3人を廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで逮捕した。

 捜査関係者によると、安形容疑者らは2012年ごろ、同県新城市乗本の工事現場で、余った生コンクリートを現場近くの山間部にある数百平方メートルの土地に捨てた疑いがあるという。

 同法などによると、余った生コンは、生コンの状態によって産業廃棄物として処理するか、コンクリート製品などとしてリサイクルすることが定められている。安形容疑者らは「宅地造成工事中」との看板を立てた土地に生コンを投棄した疑いがあり、周囲に「生コンを土地の地盤改良に使っていた」と説明していたという。

 だが、県警は安形容疑者らが投棄した生コンは、地盤改良には使えない質の悪いものだったため、不法投棄と認定して立件に踏み切った。

占有者の主観的意思では「有価物」でしたが、業者が地盤改良として使った生コン残さの質が悪かったため、警察(及び行政)は総合的な見地から「廃棄物」と判断したようです。

逮捕された社長のやった事は、客観的に見ると不法投棄と言わざるを得ない行為でしたが、生コン業者の置かれた経営状況を考えると、少しは同情できる面があります。

毎日新聞 2013年09月30日 14時27分(最終更新 09月30日 14時58分)
生コン不法投棄:背景に高い処理費用で下請けを圧迫

 余った生コンクリートを不法投棄したとして、愛知県警に30日、同県新城市の生コン製造会社社長ら3人が廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで逮捕された事件。背景には、工事現場で余った生コンの処理を巡って、元請けのゼネコンと下請けの生コン業者の間でルールを決めていないケースが多く、処理費用が立場の弱い下請けに押しつけられやすい現状がある。

 全国生コンクリート工業組合連合会(東京)によると、生コンはセメントに水や砂を混ぜ、固まる前のコンクリート。品質を保つため工場で製造してから90分以内に現場に運ぶ必要がある。余った生コンは「残コン」と呼ばれ、国土交通省の2006年の調査では、出荷量の約1〜2%だった。同連合会によると、軟らかい状態の生コンは産業廃棄物に規定され、処理費用は1トン数千〜1万円で、全国で年間100億円を超えるという。

 愛知県内のある業者は「処理を押しつけられても、不況で競争が激化し、文句を言えない。生コンの原材料が値上がりしており、利益は削られる一方だ」と嘆く。これに対し、元請け側の全国建設業協会(東京)の担当者は「ゼネコンには契約段階で生コンの処理費について協議するよう話しているが、まだ浸透し切っていない部分もある」と説明する。

 県警幹部は「事件を機に、業界全体で残コンについてのルールを再検討してほしい」と言う。

廃棄物の処理費以外にも、残業代の支払い等で従業員から突上げをくらいやすい業種でもありますので、コスト削減の余地がない企業がたくさんあります。

そんな中で、不要品(生コン残さ)の下取回収を強制されてしまうと、追い込まれた業者が不法投棄に走りやすくなることは誰でも想像できます。

力の弱い関係者に処理費を押し付けるのではなく、
廃棄物を発生させる事で利益を受ける当事者が、廃棄物処理費を負担するのは当然のことです。

それはゼネコンであるのかもしれませんし、工事の発注者であるのかもしれません。
あるいは、建物を所有することになるユーザーも、コストの一部を価格という形で負担するべきなのかもしれません。

問題は、完璧に公平なコスト負担割合を決めることは不可能ということ。

それでもやはり、生コン業者に費用負担を全面的に押し付けるのは、間違っているのではないかと思います。

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