農水省がバイオ燃料生産事業補助を打ち切り

自民党から「無駄」と指摘される補助事業ですので、よほど目に余ったものと思われます(苦笑)。

自民党内の権力暗闘も影響してそうですが、単なる想像です。

農水省の頭の良いキャリア官僚が当初から「採算性がある」と思っていたとは到底思えない事業ですが、
既に218億円もの事業費が消費されたようです。

2014/7/10 日本農業新聞 バイオ燃料事業補助 今年度で打ち切り 「自立化は困難」 農水省

 農水省は9日、北海道の2カ所と新潟市1カ所の計3地区で実施されているバイオ燃料生産事業への補助を今年度限りで打ち切ることを決めた。2016年度まで続ける予定だったが、自民党や外部検証委員会の指摘を踏まえ、補助が終了した段階で自立化・事業化の軌道に乗せるのは困難と判断した。飼料穀物の価格が国際的に高騰し、国産の引き合いが強まったため原料調達の見通しを狂わせた側面もある。3地区の事業が来年度以降どうなるかは「実施主体が決める」としている。

・飼料穀物高騰も影響

 バイオ燃料生産への補助は当初、07~11年度の5年間の予定で始めた。米や甘味資源作物など、国産原料に由来するガソリン代替燃料を確立、定着させるため、原料調達から燃料製造・販売まで一貫した仕組みづくりに補助する狙いだった。

 北海道ではJAグループ北海道などでつくる北海道バイオエタノール(清水町)がテンサイと小麦、オエノンホールディングス(苫小牧市)が米、新潟市ではJA全農が米を原料にして事業を始めた。

 当初の補助期間が過ぎた後も、自立できる段階ではなく、12年度から新たに5年間、補助を続ける予定だった。関係予算は07~14年度までで218億円に上る。

 こうした状況に対し、自民党の行政改革推進本部無駄撲滅プロジェクトチームは昨年12月、「今後の可能性がない場合は予算執行を停止すべし」との報告書をまとめた。

 これを受け、農水省は外部有識者の検証委員会を設置。5月にまとまった報告書で、北海道の2事例は「自立化・事業化は難しい」と整理。穀物価格の変動で原料調達に影響が出たことに対しては「対応可能な計画にしておくべきだった」と指摘した。

 新潟市の事例は、地元産米を調達し自ら混合ガソリンを販売する体制を整えた点は評価したが、地域全体で支える枠組みが欠けていると指摘。「実現可能性は見通せない」と分析した。

 同省に対しても「実施主体から提出された計画を妥当として承認し、補助対象にした判断も甘かった」と指摘している。同省は「補助金を出す側として重く受け止める」(バイオマス循環資源課)としている。

 3地区の今後については「高品質の製造技術を開発するなど成果も残している。整備した施設の扱いを含め、相談に乗れる部分があれば対応する」(同課)としている。

「余った農作物から燃料ができる」というコンセプト自体には魅力がありますが、
「食用となる作物を燃料に加工する」という大きな道義的問題を抱えています。

考え方の一つとしては、本当に作物が有効に燃料として活用できるのであれば、
効率良く栽培できるように遺伝子組み換えをした作物を、管理・閉鎖された場所で集中的に栽培するのが良いのではと思います。

燃料として作物に投入した資源以上の価値が生じるのであれば、積極的に作物の燃料化を推進しても良いかもしれませんが、
今回のニュースの対象になった事業の場合は、やはり補助金ありきの事業計画だったわけで、永遠に補助金を投入し続けることが必要なのであれば、もはやそれは行政が取り組むべき国家事業と言えます。

撤退には痛みが伴いますが、これ以上続けても痛みがひどくなるだけですので、補助打ち切りが当然だと思います。

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