青森市、ゴミ減量化の失敗で5.6億円の追加経費が必要に

最近気が付きましたが、ここのところ毎日新聞が地方版での報道を含めると、連日廃棄物関連のニュースを取り上げています。

今日取り上げるのは、青森版のニュースです。

2014年7月6日付 毎日新聞 青森市:ゴミ減量できず予算増 自前処理不可 組合脱退取りやめ

 青森市のゴミ減量化計画が破綻しかけている。来年度から稼働する新ゴミ処理施設で、市内や近隣3町村の可燃ゴミを全量処理する方針だったが、そのための減量計画が達成できないのが確実なためだ。このため、今年度末での脱退を予定していた黒石地区清掃施設組合からの脱退を取りやめる事態となった。市が自前で処理できない分を同組合に依頼するため、来年度は2.5億円、2016年度以降は3.1億円が必要になる。市は6月に対策本部を設置し、ようやく重い腰を上げた。
 ◇7年間の計画達成3分の1

 青森市が黒石組合にも加入しているのは、05年に合併した旧浪岡町が黒石側でゴミ処理していたためだ。一方、青森市は1998年度から平内町、外ケ浜町、今別町、蓬田村も含む5市町村分のゴミを「梨の木清掃工場」(青森市駒込)で処理してきた。この工場の老朽化で、市は同市鶴ケ坂に新施設を118億円かけて建設し、15年度から稼働させる。処理量は、08年度の青森市分の可燃ゴミ処理実績の約11万トンを基にして、人口減少や減量計画達成を見越し8万1100トンと想定。

 しかし、09〜15年度の7年間で減量するはずの2万8200トンのうち、12年度までの4年間で実際に減ったのは3分の1の9677トンだけ。新施設で処理できないゴミが15年度で1・2万トン、16年度以降は1・5万トン発生する。このため、市は黒石組合からの脱退を撤回し、旧浪岡町分の約5000トンを引き続き黒石側で処理するよう要請した。
 ◇ようやく6月に対策本部を設置

 それでも残る7200トンについても、市は黒石側に委託する方針。ただ、それには2・5〜3・1億円が必要になる。鹿内博市長は6月議会で「減量化が計画通り進まず、新たな負担が生じ、おわび申し上げます」と演壇で頭を下げた。兼平一成清掃管理課長も「10、11年度で(減量達成状況に)乖離(かいり)があったのに、取り組む手立てをしていなかった。しかられても仕方ない」と認める。

 市は6月23日に「ごみ減量化対策本部」の初会合を開催。12年度の青森市のゴミ排出量が1人1日当たりで1162グラムで、全国43の「中核市」では2番目に多く、リサイクル率も12・1%で38位と低いことが示された。

当初想定していたゴミ減量計画が計画通りに進まなかったため、手に余るゴミの処理を近隣の一部事務組合に委託せざるを得なくなったという残念なニュースです。

行政が立てる計画には、市場原理を無視した机上の空論にしか過ぎない計画も多いものですが、
ゴミ減量計画の場合も、そのような無謀な計画に基づくものが多いものです。

計画策定業務の委託先のコンサルティング会社の良心的、かつ優秀な場合は、
地に足がつきながらも、意欲的なゴミ減量計画の策定に成功することがありますが

多くの市町村のゴミ処理計画は、“単に意欲的なだけの計画”が多いのが事実です。

また、せっかく計画を作ったとしても、計画と現状の乖離を埋める作業をしないことには、計画はただの「絵に描いた餅」に終わってしまいます。

青森市の清掃管理課長のコメントがあまりに正直すぎるので、「乖離がわかっていたなら行動すれば良かったのにね・・・」とこちらも正直に思ってしまいましたが、今回の報道がきっかけとなり、市政の望ましい方向への転換が進むことを希望しております。

一番早く、効率的な改善方法は、
人口規模が同じレベルでありながらも、既に日本一の結果を残している自治体の取り組みを参考にすることです。

実際にごみ減量化施策に携わっている行政官の方にも色々と話を聞きましたが、やはり7年連続で日本最小のごみ排出量(市民1人1日あたり)を更新中の松山市を参考にするのが一番良いと思います。

松山市 ごみ減量(リデュース KEEP NO.1 プロジェクト)

近年の松山市のごみ排出量は、市民・事業者・行政が一体となって実施してきたことにより減少傾向にあります。
環境省から、平成25年12月26日付けで「一般廃棄物処理実態調査結果(平成24年度実績)(平成25年12月26日現在)」が公表されました。
松山市の1人1日あたりのごみ排出量は827.8gで、人口50万人以上の都市の中で、平成18年度から7年連続して、最少になっています。
今後もNO.1をKEEPするため、みなさまのご理解とご協力をお願いいたします。

ただ単に、「ごみを減らしましょう」というだけでは、ごみの排出量は減少しません。

色々な削減手法や市民への呼びかけを駆使しないと、松山市のような成果を出すのは不可能です。

逆に、松山市の取組みの大部分は、当局のやる気を維持することができれば他の自治体でも再現可能、とも言えます。

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