産業廃棄物収集運搬業許可では一般家庭の不用品を運べない

2015年2月26日付で、東京都が不用品回収業者の産業廃棄物収集運搬業許可を取消しました。

産業廃棄物処理業者に対する行政処分について

 次の産業廃棄物処理業者は、平成24年1月10日に産業廃棄物収集運搬業の許可を取得後、平成24年6月から東京リサイクルサービスの屋号を用いて、都民の家庭にチラシを配布し、不用品回収などと称して、廃棄物処理法第7条第1項の規定に基づく一般廃棄物収集運搬業の許可を受けないで一般廃棄物の収集運搬を行っていました。
このことは、廃棄物処理法第7条第1項の規定に違反しているため、許可を取消しました。

一般家庭から出る廃棄物は一般廃棄物になるため、産業廃棄物収集運搬業の許可では回収できません。

言うまでもないことだと思いますが、これが第1の原則。

昨今、「不用品回収サービス」をHPで謳っている業者が多いのですが、
「●●市一般廃棄物収集運搬業許可」という許可を有し、実際に●●市の一般廃棄物の回収を依頼するならば問題ありませんが、
「●●市の一般廃棄物収集運搬業許可」では、「△△市」の一般廃棄物を回収できません。

これが第2の原則。

一般廃棄物収集運搬事業を行う場合は、各市町村ごとの通行手形(収集運搬許可)を取得しないといけないわけですね。

2つの原則から考えると、不用品回収を業として広域で行いたい場合は、
「事業範囲の全市町村から一般廃棄物収集運搬業許可を取得する」か
「各市町村の一般廃棄物収集運搬業者と依頼者の間で契約をしてもらう」しかありません。

もっとも、後者の場合は、業者の紹介や斡旋を行うことになるため、それを行う事業者には、不用品回収行為をしていないという証拠が必要です。

不用品回収サービスのHPの話に戻りますが、
現実問題として、各市町村から新たに一般廃棄物収集運搬業許可を取得するのはほぼ不可能ですので、
廃棄物を取り扱う資格があるかのように装うために、「産業廃棄物収集運搬業許可」とHPで宣伝している業者が非常に多いです。

今回解説した内容は、廃棄物処理法の基本中の基本事項ですが、
行政書士の中にも誤解、あるいはそもそも知らない人が多いので、専門家を自認される方こそ大事にしていただきたい原則です。

2015.3.5追記
この記事は東京都の行政処分を題材に、全国的な不用品回収業者の実態や法制度に関する記述をしていますが、読者の方から、
『東京都の23区においては、一般廃棄物収集運搬業の許可は事業系一般廃棄物への許可となるので、23区内の一般廃棄物収集運搬業者は生活系一般廃棄物の回収ができません』
というコメントをいただきました。

東京都23区内の許可業者の方で、生活系一般廃棄物の回収ができると考えている方はおられないと思いますが、各自治体の規制実態を知ることも大切なことですので、念のため補足としてご指摘を追記しておきます。

ご指摘ありがとうございました。

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