言い訳の新機軸

不適正処理の言い訳に、「埋めたのは有価物で、法に触れない」という新機軸が出現しました(笑)。

2015年2月24日付 河北新報 <大和不法投棄>会社役員ら4人逮捕

 宮城県大和町の産業廃棄物処理会社「タイワコスミックミリュー」が東日本大震災のがれき処理で発生した廃プラスチックなどを不法に投棄したとされる事件で、県警は22日、廃棄物処理法違反の疑いで、同社の元リサイクル部長で会社役員A容疑者(63)ら元従業員の男4人を逮捕した。
 ほかに逮捕されたのは同社の元工場長で会社員B(45)と、ともに同社の作業員だった建設作業員C(59)、無職D(64)の3容疑者。
 逮捕容疑は共謀して2014年8月12~13日、同社が管理する大和町鶴巣大平の山林に焼却灰約39トンを埋めた疑い。
 県警生活環境課によると、現場周辺には木片などの廃材約116トンと、津波で被災した気仙沼市から搬出されたとみられる廃プラスチック約21トンが埋められていた。
 不法投棄されたとみられる産廃の総量は今回立件された分と合わせて計約176トンに上り、県内では過去最大規模となる見通し。
 県警は、A容疑者らが施設の処理能力を超えて産廃を受け入れ、処理費用を浮かす目的などで不法投棄した可能性もあるとみて裏付けを進めている。
 A容疑者は「埋めたのは有価物で、法に触れない」と容疑を否認、B容疑者は「後で掘り返せば違法ではないと思った」と一部否認している。C、D両容疑者は認めている。

「有価物だが埋めないといけない物」という存在があるのかどうかが疑問ですが、誰も思いつかなかった斬新な言い訳です。

真面目に解説をすると、
仮に埋める寸前までは有価物として売却可能な廃プラスチック類だったのだとしても、それを土に埋めた瞬間から、売却不可能な廃棄物となってしまいます。

それゆえ、「有価物だから何をしようとも法律に触れない」という論理は最初から成り立たないのですが、
「後で掘り返せば違法ではないと思った」という、これまた取ってつけたような言い訳にも痺れさせられました。

言うまでもなく、処分費を捻出するつもりがなかったからこそ土中に埋めたのであり、「後で掘り返そう」などと殊勝なことを考えた可能性は万に一つも無さそうです。

さて、委託者にとって教訓になる点としては、上記の記事の赤字の部分、

A容疑者らが施設の処理能力を超えて産廃を受け入れ、処理費用を浮かす目的などで不法投棄した可能性もある

後先を考えない、売上高と粗利の極大化を目的とするならば、産業廃棄物を最大限受け入れ(売上増)て、その処理を行わずに(コスト削減)不法投棄をするのが、最も手っ取り早い手口です。

このご時世に、こんな古典的な手法の不法投棄を行う処理業者がいること自体が驚きですが、
古典的ということは普遍性にもつながるのかもしれません。

こうした背景を念頭に置きつつ、現地確認の際に産業廃棄物の保管場所を観察していただくと、その処理業者の経営方針やコスト意識の高低がよくわかります。

施設の故障といったイレギュラーな理由以外で、常時保管場所があふれ返っているような処理業者は、残念ながら「後先を考えない売上高と粗利の極大化」を意図している可能性が高くなります。

誰でもわかる観察ポイントですので、現地確認の際には産業廃棄物の保管場所を必ずチェックするようにしてください。

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