フリーライダーの問題(福岡県苅田町の場合)

昨日の記事に引き続き、再びフリーライダーについてです。

今日ご紹介するのは、さらに悪びれることなく堂々と不法投棄をしているのが特徴的です。

2015年10月4日付 毎日新聞 「不名誉な1020グラム /福岡

 大企業が林立し税収の豊かな苅田町は、町民に負担をかけまいと無料にしてきた。福岡県でごみ袋を無料にしているのは苅田町だけだ。だが住民が増えゴミ収集量は増加傾向。せめて量を減らそうと2年前から古紙の回収ボックスを役場やスーパーに置いているが、リサイクル熱は高まらない。廃棄物の処理経費はジワジワと上がり続け町長は今年1月、ついにゴミ袋有料化を審議会に諮問した。

 有料化の方針が新聞報道されるようになり、町役場に電話がかかってきたという。「行橋のもんやけど、いつから有料にするんかね?」

 なぜ他市の住民から問い合わせがあるのか。苅田町では、近隣市町の住民が透明袋に家庭ゴミを入れて捨てにくるといわれている。通勤途中の車からゴミ袋を集積場に投げ捨てていく見知らぬ人を目撃した町民もいる。ある町ではタダ、隣町では有料。不法投棄が起きないほうが不思議だ。

まるで落語のような問い合わせです。

それだけ、隣接する自治体から苅田町にわざわざ不法投棄をしにくる人間が多かったということなのでしょう。

kanda-town

福岡県内の地理関係に明るくないため、Googleマップで位置関係を確認したところ、
行橋市民が苅田町のごみ処理費用を気にする理由がよくわかりました。

さて、新聞記事を読む限りでは、毎日新聞の記者は、不法投棄が起こる理由として、
「不法投棄実行者」が悪いのではなく、ごみ回収費を無償化している苅田町に責任があると考えているようです。

現在の苅田町の状況に問題があるのは事実ですが、犯罪を行っている人間の責任を論じないのはフェアではありません。

 議会は「有料化反対」の大合唱だ。「ゴミ袋の無料配布は町の誇りだ」を耳にした時は驚いた。確かに苅田町は豊かだがいまだに無料を貫き通していること自体、循環型社会に逆行した、決して誇れぬ事態だと思うのだが……。

たしかに、有料化をすれば一時的にごみ排出量が減るのは事実です。

しかしながら、そもそも市町村のごみ処理事業の原資は、市民が払った税金です。

ごみ処理の有料化には、税金(手数料)の二重賦課という側面があることを思い起こす必要があります。

もっとも、周りの自治体がすべて有料化をしてしまった以上、このまま苅田町のみが無償化を続けたとしても、不法投棄を誘発するだけですので、早急な施策の見直しが余儀なくされそうです。

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