心意気

2018年1月17日付 毎日新聞 「災害廃棄物処理協定 嘉麻市、県産廃協会と調印 締結の流れ拡大 /福岡

 嘉麻市は16日、県産業廃棄物協会(鎌田幸男会長、約450社)と「災害廃棄物の処理等に関する協定」を結んだ。地震や風水害などの大規模災害時に、市の要請で、家屋倒壊などで生じた災害廃棄物への対応に協会が協力することをうたった。同様の協定は筑豊では直方市、飯塚市に次いで3例目。

 今回の協定は、木くずやコンクリート塊、金属くずなど倒壊家屋から発生した災害廃棄物の撤去、収集・運搬、処分について、市の要請を受けた協会側が会員企業をあっせんし、必要な人員や車両、機材などを調達して対応するとしている。

 県産廃協会によると、県と協会は2003年3月に協定を結び、災害時に市町村から県を通じて協力要請の枠組みがあった。だが県を介した手続きはタイムラグが生じるため昨年3月、久留米市が県内市町村で最初に協会と協定締結。その後の九州北部豪雨で協定の必要性が再認識され、協会と直接協定を結ぶ自治体が増えており、嘉麻市は県内20市町村目。協会は県内全60市町村との締結を目指しているという。

昨年は、日本各地で台風の被害が数多く発生しましたが、福岡県でも、豪雨の影響で朝倉市等で災害が起こりました。

その後に残された災害廃棄物を、福岡県産業廃棄物協会所属企業が撤去協力し、社会インフラの復旧に尽力されたことは記憶に新しいところです。

え?大部分の人の記憶に無い?

大変残念なことですが、私自身を含め、自分が住んでいる地域とはなれた場所のニュースには、それほど大きく反応しないというのが大多数の人の状況かと思います。

たまたま昨年の夏、記事にもある九州北部豪雨の災害廃棄物処理をしていた企業の社長と話しをする機会がありましたので、実際の現場の苦労等を知ることができました。

その方は地元自治体との総合調整を担当していましたので、私と会っている数時間にも、自治体や協力業者からの問い合わせで携帯電話が鳴ることしきりでした。

「電話の電池がすぐなくなるので、充電できる場所を探すのが大変です」とこぼしておられたのが印象に残っています。

「災害廃棄物処理って儲かるのだろう」と思う方がおられるかもしれませんが、実際はその逆で、儲かるどころか、産業廃棄物処理企業の持ち出しになる方が多いと思います。

人と車を産業廃棄物処理企業が派遣し、その対価はいくばくかは地元自治体から支払われることにはなりますが、早朝から災害廃棄物の仮置き場所で待機し、処分場所まで多くて3往復、だいたいは2往復しかできません。

もしもその仕事がなければ、会社の売上を上げるために、運転手と車両を事業目的に活用できていたところですが、運転手と車両は終日災害廃棄物処理に張り付けることになり、純粋な収支で見れば赤字となります。

そのため、儲けるために協定を結んでいるわけではなく、「地元への貢献」という、本当に純粋な熱意のために産業廃棄物処理企業は災害後に奔走しているのです。

悲しいことですが、近年は「産業廃棄物処理業者=地域社会に迷惑を引き起こす悪」というステレオタイプな報道がまた増えていますので、こうした見えにくい産業廃棄物処理企業の善行にもっと光を当てていただきたいものです。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ