「外国政府」じゃなく「中華人民共和国」だよね

中国の廃プラ輸入禁止措置が日本国内にもたらした影響について、環境省がアンケート調査した結果を公表しました。

2018年10月18日付 環境省発表 「外国政府による廃棄物の輸入規制等に係る影響等に関する調査結果について

1.調査の概要
 平成29年末より、中華人民共和国において使用済プラスチック等の輸入禁止措置が実施されており、当該輸入禁止措置等による影響として、国内で廃棄物として処理されるプラスチック等の量が増大したことにより、国内の廃棄物処理がひっ迫し、国内の産業廃棄物処理に支障が生じているとの声が寄せられている。
 こうした状況を踏まえ、国内の状況を把握し廃棄物の適正処理を推進するため、都道府県等及び廃棄物処理業者に対し、廃棄物の輸入規制等に係る影響等についてアンケート調査を行ったもの。
実施期間:平成30年8月(平成30年1月から7月までの状況について回答依頼)
回答状況:都道府県及び廃棄物処理法で定める政令市の産業廃棄物主管部局並びに廃プラスチック類の産業廃棄物処理業(中間処理・最終処分)の許可を有している優良認定業者を対象にアンケートを実施。
回答率:都道府県及び政令市83.6%(47都道府県及び75政令市のうち38都道府県及び64政令市から回答)、廃棄物処理業者 28.9%(調査対象605社のうち175社から回答)

産業廃棄物処理業者の回答率が低いのが印象的です(笑)。

それでも、175社からは回答があったわけですので、現状の一端を示す内容にはなっていると思われます。

2.主な結果概要(詳細は別紙参照)
外国政府の輸入規制等の影響による廃プラスチック類の不法投棄は、平成30年7月末時点では、本アンケートに回答いただいた自治体においては確認されていない。
一方、現時点では生活環境の保全上の支障の発生は確認されていないものの、一部地域において上限超過等の保管基準違反が発生していること、一部処理業者において受入制限が実施されていることから、今後、廃プラスチック類の適正処理に支障が生じたり、不適正処理事案が発生する懸念がある状況。

アンケート結果に関する分析の最大の肝になる部分です。

環境省の分析のとおり、現在すでに一部で保管容量超過が発生しているため、不適正処理事案の萌芽が見られることになります。

3.今後の対応
外国政府の動向も踏まえながら、廃プラスチック類の処理のひっ迫状況や不法投棄等に関する実態把握及び自治体を含めた情報共有を進めていく。
加えて、以下の対策を可能な限り速やかに講じる。
1.公共関与型の産業廃棄物処理施設、大規模な処理施設等の既存施設の更なる活用や、関係団体との協力により不適正な事案の発生時も即時に対応が可能となる体制の構築を検討。
2.廃プラスチック類のリサイクル施設等の処理施設の整備を速やかに進め、国内資源循環体制を構築。
3.来年6月までに策定予定の「プラスチック資源循環戦略」に基づき、プラスチックの資源循環を促進。

今後の対策も重要な内容ですが、個人的には、「あまり実効性のある対策ではないなあ」という印象を受けました。

「公共関与型の産業廃棄物処理施設」とは、大部分が管理型最終処分場ですので、「その活用を図る」ということは、最終処分量を増やすという意味なのでしょうか?

また、2の「リサイクル施設の整備を進める」ことは、愚策中の愚策と言えます(苦笑)。

国内で廃プラスチック類の滞留が起こっている理由は、
「国内にリサイクル施設が不足しているから」ではなく、
「リサイクル材の活用先が国内にほとんど無いから」です。

そこを読み違えて(?)、リサイクル施設=加工施設を大量に作ったところで、作った製品の需要が無い以上、ゴミとなる在庫をまた大量に滞留させるだけとなります。

そうなると、むしろコストとエネルギーをかけて製造する分、単なる廃プラスチック類の滞留よりも質が悪いかもしれません。

「需要を喚起する」ということ自体は簡単ですが、
人件費が高いうえに、労働人口が少ない日本で、需要の喚起を行うということは容易ならざることと言わざるを得ません。

現代の日本においては、リサイクルではなく、「排出抑制」に舵を切る方が容易、かつ効果的なのかもしれません。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ