自動更新条項がある産業廃棄物処理委託契約書は第7号文書か?

産業廃棄物処理委託契約書を書面で作成すると、課税額に応じた収入印紙を契約書に添付しなければなりません。

収集運搬委託契約書の場合は印紙税額一覧表の「第1号の4(運送)文書」、処分委託契約書の場合は同表「第2号(請負)文書」に該当します。

実務でよく混乱を招くのが、「継続的取引の基本となる契約書」である第7号文書に該当するのかどうかです。

一般的に、「契約期間は1年間。契約期間満了後は自動的に1年間更新するものとする。」という書き方をすることがありますが、このような自動更新の定めをすると、なんでもかんでも継続的取引として第7号文書になるのでしょうか?

国税庁のHPでは、第7号文書と他の文書の違いを下記のように解説しています。

第7号文書と他の号に該当する文書の所属の決定

運送に関するもの、請負に関するものについては、それぞれ第1号文書又は第2号文書にも該当することとなりますから、

記載金額のあるものは第1号の4又は第2号文書に、

記載金額のないものは第7号文書にその所属が決定されることになります。

そして、記載金額のないものの例として

第〇条 運送料については、1トンあたり2,000円とする。

などの、単価を定めただけの契約書の場合は、契約期間の記載がないため、記載金額の算定ができないものとなり、第7号文書になります

 と解説されています。

しかしながら、
産業廃棄物処理委託契約書には、「契約の有効期間」と「委託者が支払う料金」の両方を記載しなければなりません。

そのため、上記の、「契約期間の記載がない」産業廃棄物処理委託契約書は作成できません。

書類としてはそのような契約書を作ることも可能かもしれませんが、法定記載事項の記載を欠いた契約書は違法となりますので、そのような契約書をわざわざ作成する意味がありません。

また、

第〇条 収集運搬費については、月額100,000円とする。

第△条 本契約の有効期間は、2013年4月1日から2014年3月31日までの1年間とする。ただし、契約期間満了の1か月前までに甲乙双方より別段の申し出がない場合には、さらに1年間延長するものとし、以降の満期の際にも同様とする。

などのように、自動更新条項が含まれた契約書であっても、「月額単価×12か月(1年間)」により記載金額の計算ができますので、第1号の4文書になります。

結論

法定記載事項を網羅した産業廃棄物処理委託契約書の場合は、第7号文書に該当しない。
(※筆者注記 2013.4.9
ただし、これは委託料金と契約期間を1通の契約書で定めるという一般的な契約形態での話で、委託料金の単価と契約有効期間を別々の契約書で定めるといった特殊な契約形態を取った場合は、この限りではありません。)

第7号文書に該当すると4,000円の印紙を添付しなければなりませんので、あえて法定記載事項を満たさず、第7号文書に該当させようとする人はいないと思われます(笑)。

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