処理料金の値上げ待ったなし

京都府福知山市が設置した一般廃棄物最終処分場が、相次ぐ産業廃棄物の持ち込みにより、計画よりも早期の閉鎖となる危機を迎えているようです。

2018年12月13日付 京都新聞 「埋め立て処分場の短命化進む 京都、一部事業者は産廃横流し?

 京都府福知山市牧のごみ処理施設「環境パーク」で、埋め立て処分場の短命化が進んでいる。処分料が安価なことから市外の産業廃棄物が持ち込まれているとみられ、現行の埋め立て場は予定より2年早い2021年に満杯になる見込み。市は処分料の値上げや産廃の受け入れ制限も視野に、延命化に向けた対策に乗り出す。

 処分場は1988年に運用を開始し、第1期、2期と埋め立て場の拡張を続け、現在は第3期の埋め立て場を運用中。想定を上回るペースでの廃棄物の搬入に、容量を増やす工事や第4期埋め立て場の整備を進めているが、それも2037年ごろに満杯になることが予想される。以降の処分場計画も白紙で、延命対策が急務となっている。

 短命化が進む要因について、市は、埋め立てごみ容量の58%を占める産業廃棄物の搬入を挙げる。公営施設で産廃を受け入れている市は、府内で福知山市と綾部市だけ。産廃20種類のうち、綾部市は3種類のみ搬入可としているが、福知山市は、市内にある長田野工業団地の生産活動に鑑みて、処分場の運用当初から16種類を受け入れている。

産業廃棄物の16種類ということは、管理型最終処分場で処分できるほぼすべての産業廃棄物ということになり、福知山市内の事業者にとっては、かなり有難い施設と言えます。

ちなみに、管理型最終処分場で処分できない産業廃棄物の種類としては、「廃油」「廃酸」「廃アルカリ」「感染性産業廃棄物(←特別管理産業廃棄物ですが)」等となります。

 また、市の産廃処分料は一律410円(20キロ当たり)で、民間の処理業者と比べた場合、産廃の大半を占める廃プラスチックで3~6割も安い。搬入は市内で排出された産廃に限定し、現在は915社が許可を受けているが、市によると、一部の事業所や運搬業者などが市外から産廃の横流しを受けて処分場に持ち込んでいる可能性があるという。

最終処分場の残存容量の圧迫の主因は、このあたりにありそうです。

立法メートルではなく、キロ単位の請求である点は、産業廃棄物を持ち込む事業者サイドにとっては、これまた有難すぎる料金設定です。

通常、民間企業が設置した最終処分場では、重量ではなく、立法メートル(しかもおおよその)単位で処理料金を請求しますので、廃プラスチック類等の軽い割にはかさばる産業廃棄物の処理コストは、重量ベースで請求された場合よりも増える傾向にあるからです。

福知山市の受け入れ単価の場合、20キロあたりで410円とのことですので、1キロあたり約20円、1トンなら約2万円の計算となります。

地域によって最終処分単価の相場はかなり変わりますが、私の感覚からすると、記事にある「3~6割安」ではなく、「5~7割安」と思いました。

こうなると、最終処分単価の値上げは、最低でも2倍以上としない限り、公共施設への産業廃棄物流入は止まらない可能性があります。

最終処分場の窓口で、福知山市外の事業者の産業廃棄物か否かを判別することは非常に困難であるため、処分場の延命を図るためには、受入単価の大幅な値上げ、あるいは停止しかないように思います。

 市はこのほど、処分場の延命化に向けた実施計画を策定。処分料の値上げや産廃の受け入れ縮小、停止などの具体策の検討に向け、市環境審議会に諮問した。来年1月から審議会で見直し内容の協議を始め、答申を受けて本年度内には対策を決定し、19年度から関係団体に周知。20年度からの実行を目指す。

 市は「新たな処分場を作るのは難しく時間が必要。今の処分場を長く使うため理解を求めていきたい」としている。

福知山市としても、値上げ、あるいは受け入れ停止を視野に入れているとのことですので、福知山市環境審議会において、かなり踏み込んだ議論が行われるものと思われます。

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