自由すぎる発想

「許可が無ければ、許可証に(無断で)書き足せば良いじゃない(偽造)」という、常人には思いつかない発想を実行した処理業者の役員が「有印公文書偽造・同行使容疑」で逮捕されました。

2019年8月5日付 毎日新聞 「産廃収集運搬業の許可証を偽造容疑 川越の処理会社役員を逮捕 埼玉県警

 産業廃棄物収集運搬業の許可証を偽造したなどとして、埼玉県警は5日、同県川越市の産業廃棄物処理会社役員の男(43)を有印公文書偽造・同行使容疑で逮捕した。捜査関係者が明らかにした。収集や運搬が許可されていなかった「木くず」を勝手に許可証に加えていたという。廃棄物処理の許可証偽造容疑での逮捕は同県内で初めて。

 捜査関係者によると、逮捕容疑は2015年4月ごろ、同市の事業所内で、県知事が発行する産業廃棄物収集運搬許可証の事業範囲を偽造。さいたま市桜区の取引先の会社事務所で廃棄物処理の契約を結ぶ際、偽造した許可証の写しを渡したとしている。容疑を認めているという。

 この会社は廃プラスチック類など6種類の事業を許可されていたが、許可されていない「木くず」の処理も許可されているように偽造されていたという。5月に県から情報提供があり捜査していた。

 同社は産業廃棄物を適切に処分したことを示す管理票(マニフェスト)に虚偽の内容を記載したなどとして、7月に県から産廃収集運搬業の許可を取り消されており、県警は廃棄物処理法違反の疑いもあるとみて調べる。

これまでにあった許可証の偽造手口は、
・更新許可申請を怠った処理業者が、許可期限その他を偽造
・許可取得を依頼された行政書士がその依頼を実行せず、前金だけは受け取っていたために、依頼者をだますために許可証全体を偽造
という、それはそれで荒々しいものが多かったわけですが、

「事業の範囲」に掲載されている「産業廃棄物の種類」に木くずをこそっと追加するという手法は、ありそうでなかったように思います。

ちなみに
許可証を偽造した場合、「偽造した部分」と「偽造していない部分」のフォントの大きさ等が異なることが多いため、そこに注意すれば見破ることは簡単です。

また、許可証に掲載される「産業廃棄物の種類」は、「廃棄物処理法第2条第4項」及び「廃棄物処理法施行令第2条」に記載された産業廃棄物の種類の順のとおりとなります。

具体的には、「紙くず」「木くず」「繊維くず」の3つであれば、施行令第2条の順のとおり、必ず「紙くず」「木くず」「繊維くず」の順で掲載されます。

そのため、「木くず」を追加取得した場合でも、「紙くず」「繊維くず」「木くず」という順で掲載されることはありません。

この2点を知っているだけで、偽造許可証を見抜ける確率はかなり高まります。

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