事例6 備前焼のリサイクル

2022年4月13日付 NHK 「備前焼 陶器片をリサイクルした粘土で作品作り始まる

備前市では今、備前焼を作るときに出る割れた陶器片を再利用する取り組みが行われています。
このほど、リサイクルした粘土を使って、備前焼作家が備前焼と同じ方法で焼き上げる作品づくりが始まり、13日に市内のギャラリーでお披露目されました。

備前焼は、およそ1200度と高温な登り窯で長時間たき上げて完成させるため、どんなに努めても一定程度は割れてしまいます。
これまで割れた陶器片は、作家自らがお金を払い、廃棄物として処分してきましたが、今、備前焼の産地では、割れた陶器片をもう一度焼き物にする取り組みが始まっています。
去年9月には、備前焼作家の団体がつくる事務所に、割れた陶器片を集める回収スペースが設置されました。
ここで集まった陶器片を機械を使って細かく砕き、土と混ぜ合わせリサイクル粘土を完成させます。

実際には、約8分間にわたる報道となり、テキストで書かれた以上の詳細が語られていますので、是非NHKの動画の方もご覧いただければと思います。

備前焼の制作過程では、1回当たり約50キログラム程度の不要な陶器片が発生するとのことです。

地域によって処理単価は異なりますが、50キログラムの陶磁器片であれば、産業廃棄物としての処分費は数千円から1万円以下というところでしょうか。

陶磁器片を産業廃棄物処理する場合は、大部分を安定型最終処分場に埋めることになり、最終処分場の残存容量はそれだけ減少することになりますので、陶器片を埋めることなく原材料に戻すことは、資源とインフラ保全の両面で有意義な取組みと言えます。

使えないと思われていた陶器片が、細かく破砕することで再び陶器の原料たる粘土に再生できるとは、作陶家の方も気づかなかった「コロンブスの卵」的な発見です。

陶器片を粘土に再生した事業者は、ご当地岡山県備前市に工場を構える株式会社三石ハイセラムです。

使用済みのレンガを有価買取りし、原材料に再加工した上で、精巧な一品物の特注レンガの製造も可能という、筋の通った美しい事業内容ですね。

陶器の産地と同じ地域にリサイクル工場があるため、陶器片の運搬コストを安くできることが、最大の成功要因であると思います。

他の陶器にも汎用可能な技術であろうと思われますが、運搬コストの問題から、遠方の産地から回収することはやはり現実的ではなさそうです。

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