埋め戻しと残土処分の両立を目指す取組み(大谷石材協同組合)
2022年4月15日付 読売新聞 「31年前の大規模陥没、ようやく埋め戻す作業に着手…現在は草木に覆われて荒れ放題」
宇都宮市大谷町瓦作地区の大谷石の採石場跡地で、1991年に起きた大規模陥没の跡について、大谷石材協同組合は今月、公共工事の残土などで約30年ぶりに埋め戻す作業に着手した。陥没地は約2・9ヘクタールに上り、現在は草木などに覆われ立ち入り禁止となっている。地元では不法投棄や火災を心配する声が多く、不安解消につながると期待されている。
同組合によると、大谷石は最盛期の1970年頃には、約120の採石業者が年間約89万トンを出荷していた。近年は採石業者の廃業もあって地下に残る坑道の数が把握できなくなり、坑道につながる立て坑だけでも、少なくとも200か所以上が埋め戻されていない状態だという。
89年からは採石場跡の陥没が相次ぎ、瓦作地区の陥没は、その中でも最大規模だった。けが人や住宅への被害はなかったものの、陥没跡は人の背丈を超える草木が生えたり、水がたまったりするなど荒れ放題で、安全管理上問題のある状態が続いていた。ただ、業者の廃業で責任の所在が曖昧になっており、作業の安全確保も難しいことなどから放置されてきた。
大谷石(おおやいし)は、Wikipediaによると
軽くて軟らかいため加工しやすく、さらに耐火性・防湿性に優れている。このため住宅(かまど、石塀・防火壁、門柱、敷石・貼石など)、蔵や倉庫、大きな建築物の石垣、斜面の土止め石(擁壁)といった幅広い用途を持つ。耐火性・蓄熱性の高さからパンやピザを焼く窯や石釜の構造材としても用いられる。岩盤工学の分野では、扱いやすい素材として実験試料に利用される。
大谷町付近の大谷石の分布は、東西4キロメートル、南北6キロメートルにわたる。2009年度時点で採石場は12か所、出荷量は年2万トン程度、推定埋蔵量は約6億トン
とあります。
栃木県宇都宮市北西部の大谷町一帯で採掘可能な石材であり、現在も採掘が続いているそうです。
個人的には、桃太郎電鉄で登場する「大岩五郎」により、「大谷石」の存在はインプットされておりました。
この際ですから告白をしますと、大谷町の皆様には大変申し訳ないと思う誤解ですが、
私、大谷石は「大岩五郎」の左下に見える「埼玉県深谷市」の特産と思い込んでおりました。
だって、大岩五郎は「宇都宮」を隠す形でいつも登場してくるんだもの。登場後は「深谷」が最寄り駅に見えたんだもの。
今回の大谷石に関する報道で、長年の誤解をようやく正すことができました。
さて、ご当地大谷にある「大谷資料館」のサイトを見ると、
大谷石の採掘方法は、
※大谷石の採掘方法と採掘形態から転載
とあり、
たとえば、坑内掘りの「垣根掘りより平場掘りへ」のような採掘跡地の場合、土地の表層からは、内部の坑道の様子が分かりづらくなるであろうことがわかります。
採掘業者の廃業等により、管理が十分に行われなくなった坑道が陥没することがあり、1991年には2.9ヘクタールに及ぶ大規模な陥没があったそうです。
こうした危険な状況を改善するため、大谷石材協同組合が、公共工事の残土を使って大谷石採掘エリアに生じた陥没地の埋め戻しを始めるとのことです。
まずは第1段階として約5万6500立方メートルの残土を使い、3年間で約1・5ヘクタールを埋めた後、残りの1・4ヘクタールの埋め戻し工事を始める予定。組合が残土を持ち込む業者から処理費を受け取り、それを埋め戻しの費用に充てる。残土は埋め戻す前に住民に公開する。
地域に根ざした地場産業の主体である大谷石材協同組合が行う埋め戻し事業であるため、営利目的の野放図な盛り土ではなく、地域の安全と安心につながる取組みになるものと思います。
埋め戻しに使う残土を事前に公開する姿勢も、一般的な盛り土事業者には見られない誠実な方針と言えます。
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2022年4月19日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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