社長のエゴを満たし続けた結末

今日は廃棄物関連の記事ではありませんが、興味深い本のご紹介です。

私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日
安田佳生
価格: ¥ 1,470
発売日: 2012/2/28

Amazonでは、★1つか2つと酷評されている本ですが、確かに実務書のように読んですぐ役立つ本ではありません。

しかし、ワイキューブ元社長の安田氏が、自己を偽ることなく、会社の創業から倒産に至るまでの過程を淡々と語っているため、企業経営の大きなヒントになると思います。

成功事例の場合は、成功までの過程を詳細に語っているわけではなく、成功要因の重要部分を意図的に省略して説明されることが多いものです。

もちろん、失敗事例の場合も、失敗までの過程のすべてを語ってくれるわけではないですが、
この本では、通常の人なら隠したいと思う安田氏のコンプレックスや、社員待遇にコストをかけた真意が明らかにされています。

ここが非常に重要な点です。

この本を読んだ感想を一言で要約すると、
「ワイキューブという会社は、リクルートをスピンアウトした安田氏が、自分のエゴやコンプレックスを満たすために作り、育てた会社である」
となります。

エゴやコンプレックスを満たすことが悪いわけではありません。

起業の初期においては、社長のエゴを満たすことを考えた方が、起業戦略が明確になり戦力を集中できるという利点があると思います。

しかし、会社がある程度の大きさになり、従業員が毎年倍増するという状態になると、社長のエゴだけではなく、多様なステークホルダーの利益も考えていく必要があります。

この本を読む限り、
ワイキューブという会社は、起業から倒産に至るまで、徹頭徹尾社長個人のエゴを満たすため“だけ”の存在だったと言えると思います。

翻って、ワイキューブ以外の会社においても、
「経営理念が大事だ」と言いながら、社長のエゴを満たすことが最優先という企業が多いのではないでしょうか?

安田氏の赤裸々な告白を読みながら、自分の会社の状況を顧みる機会としてみてください。

印象に残ったポイント

「転職する人材が必ずしも優秀なわけではない」

A社に入社して3年間営業をやり、B社に移って営業を2年間、それからC社でも営業を3年経験し、いままた転職先を探している。
「この履歴書を見てどう思いますか」と得意先の社長に質問すると、ほとんどの社長は「この人には営業のキャリアがある」と答えた。
ところがそうではないのだ。
「この人が転職した理由は、十中八九、売れなかったからですよ」と私は返した。

もし本当に優秀な営業マンだったら、その会社の社長は給料を増やしてでも引き止めるのだろう。
評価も期待もされていないから、この人は会社を辞めたのだ。

「優秀な人はそもそも会社を辞めないから、転職市場にも出てこない」

経験があって能力がある人材は「即戦力」。
経験がなく能力がない人材は「戦力外」。
経験がなく能力がある人材は「未来の戦力」。
経験があって能力がない人材は「即害力」。

給料を高くして社員のパフォーマンスが上がったかというと、実はそうでもなかった。

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